全国農業再生推進機構(いわゆる全国組織)と(株)グレイン・エス・ピー(八木俊明会長)は6~7日、都内で「米マッチングフェア2018」を開催した。昨年から東京・大阪で催している展示商談会で、今年度最後の第4回目となる。会場では生産者・卸らと実需者が活発な商談を行った。
 
〈全農山形県本部〉つや姫のほか、雪若丸の県外での知名度向上を目指し、つや姫レディを呼んで県産米をPRした。硬めであっさりした雪若丸はカレーや寿司などに適しており、一般消費者向けだけではなく業務用ユーザーからも好評だ。30年産では約6割(3,000~4,000t程度)を県外向け販売用としている。「山形を含む日本海側は作柄が悪く、30年産雪若丸は必ずしも需要に応えられたといえなかった。今回は31年産以降の契約を掴み、全国の方々に雪若丸をもっと知ってもらいたい」(担当者)。
 
〈全農宮城県本部〉加美よつば農協の子会社である(株)JA加美よつばラドファが製造した宮城県産米パックごはんをPR。単協子会社が製造して小回りが利く点を活かし、小ロットからの製造が可能。ラインナップはだて正夢、金のいぶき、ひとめぼれ、ササニシキなどのほか、250gの業務用パックごはんも用意した。賞味期限は常温で8か月程度。「業務用店舗の深夜オペレーション時に炊飯する必要が無く、廃棄ロスを削減することができる」(担当者)。
宮城県産米パックごはん(全農宮城県本部)

宮城県産米パックごはん(全農宮城県本部)

〈(株)石崎商店〉茨城の県央~県北を集荷エリアとする茨城町の米穀卸。農産物検査を自社で行うほか、工場では精米HACCPの認証取得を目指している。配送も自社で関東をカバーする。出展の理由について担当者は「当社が普段集荷させてもらっている生産者と、エンドユーザーである実需者を繋げるため」と話す。その背景には、生産者と実需者の直接取引では交渉力に差が出ることも関係しており、「そこで我々が間に入り、こうした場でユーザーの声を聞いて生産者に届ける必要がある」と説明する。
 
茨城コシヒカリを展示する同社ブースには同業の卸が多く詰めかけ、そうした来場者からは玄米で要望されることもあるという。しかし「全国展開する大手業務用ユーザーからは、関東の拠点で茨城の米を使いたい、というお声をいただいた。米の嗜好は地方によって違うので、関東の店舗ならば関東の米を使いたいという話だ。大手チェーンにも地方の米のニーズがあることが分かって良かった」と頬を緩ませる。また同社は今月中旬、周辺の生産者を集めてコメ輸出の説明会を開く予定。「我々としても飼料用米などから輸出用米に切り替えてもらいたいと思っている。まずは卸が先頭に立って生産者にメリットを理解してもらうことが重要だ。生産者と実需者、茨城の生産者と世界のマーケットなど、様々な面での仲介役として、地域の生産者に貢献していきたい」。

茨城コシヒカリ(石崎商店)

茨城コシヒカリ(石崎商店)

〈(株)大潟村カントリーエレベーター公社〉周辺農家から委託された籾米を乾燥調製、オーダーに応じて精米・販売するJAグループの子会社。500tサイロ80本、150tサイロ40本、準低温倉庫5棟というスケールメリットとともに、“業務用”の秋田県産あきたこまちをPRした。「業務用米不足で各産地が多収品種の作付を増やしているが、単純に追従しても価格競争に巻き込まれるだけだ。仮に多収品種を増やしても、関東周辺の産地のほうが運賃の面で有利。30年産は全国的に様子見ムードだが、31年産は様々な動きが出てくるはず。今回はそうした中で、業務用米の中でもやや高めの価格帯をアピールした」と担当者は話す。同社は昨年8月の米マッチングフェアにも出展。その際は全国展開する大手外食チェーンと契約がまとまり、東北エリアへの供給が決まった。「業務用とはいえ、『秋田県産あきたこまちを使用しています』と謳えるのはユーザーにとってメリットだろう。今回も契約を取っていきたい」。

秋田県産あきたこまち(大潟村カントリーエレベーター公社)

秋田県産あきたこまち(大潟村カントリーエレベーター公社)

〈(株)理想郷〉千葉の米穀卸・(株)向後米穀が近隣の生産者と2012年に設立した農業生産法人。ミルキークイーンなどを展示した。千葉大学と共同で有機肥料の研究を行っており、そのテーマは「高食味な米の栽培に有効な有機肥料及びその栽培技術の研究開発」。法人設立から6年が経ち、昨年11月に開催された「第20回 米・食味分析鑑定コンクール」では国際部門で金賞を受賞した。農業生産法人設立のきっかけは、同社が従来から所有していた試験圃場。そこで新品種などの作付を行っているうちに、周辺農家から委託生産の依頼が来たり農地を借り受けたりするようになり、現在の経営面積は約40haまで広がった。従業員数は1ケタだが、出来秋になると周辺の農家も手伝うような恰好で地元に根付いた生産法人へと成長している。「重要なことは周りの農家をいかに巻き込むかだ。一緒になって地域を活気づけていきたい」(担当者)。

ミルキークイーン(理想郷)

ミルキークイーン(理想郷)

〈米麦日報 2019年2月8日付〉