ウーケ、Cライン稼働で年間生産能力が1.5倍の1.2億食へ 輸出も拡大し年間目標100万食、将来は3,600万食目指す

ウーケ 工場外観(左の建物が既存工場、右がCラインのある新工場建屋)
(株)神明ホールディングス(兵庫県神戸市、藤尾益雄社長)の子会社・(株)ウーケ(富山県下新川郡入善町、舩木秀邦社長)は13日、富山入善工場増築工事の竣工式を開いた。これまで、無菌包装米飯の年間の生産能力は約8,000万食だったが、約1億2,000万食への増強となる。また、輸出拡大にもつなげる考えで、当面の目標を年間100万食、将来的には年間3,600万食を目指す。

ウーケは2007年設立、2009年に最初の製造ライン(Aライン)が稼働、2013年にBラインが稼働した。今回のCラインは既存工場の隣接地(入善町下飯野210-1)に建て、連絡通路で既存工場ともつながっている。敷地面積2万8,137平方メートル、建築面積2,901平方メートル、延床面積3,503平方メートル。鉄筋2階建て。投資額は約33億円。製造能力は毎時7,200食。竣工式後の祝賀会で舩木社長は「当社が設立してから既に12年、最初の工場稼働からも10年経った。無菌包装米飯の市場での需要が拡大し、当社の生産も拡大、2018年度は売上高51億円、出荷食数は8,000万食を超えている。海外にも約40万食を出荷し、まずは100万食を目指していきたい。社員数も100人を超えた。

近年は市場の要望に応えられない状態もあったが、新ラインの稼働で年間1億2,000万食の供給が可能になる。さらなる業界への貢献ができると思っている。本日、新ラインをお披露目し、早くも第4期工事の話題になる。業界の最大手は年間3億食の生産ができるそうだ。当社の場合は残り5ラインが必要になり、Hラインまで稼働させないとトップには追いつかない。今後も、業界のリーダーとなるべく努めていく。当社はまだまだ伸びしろがある」とした。

来賓の北陸農政局経営・事業支援部の瀧澤永佳部長は、「輸出の一丁目一番地には米がある。米の制度の将来を考えても米の輸出は重要。その中で、パックご飯の位置づけは大切で、積極的な取組みに感謝申し上げる」と賛辞を贈った。

神明ホールディングスの藤尾社長は、「新ラインが稼働し、感無量だ。私は2007年に(株)神明の社長に就任して、ウーケは初めての精米以外の大きな事業だった。名前をつけるのも、((株)神明の藤尾)益造専務や経営陣と侃々諤々。ウーケの名前の由来は、神明が五穀豊穣の神・天照大神(アマテラスオオミカミ)から来ていて、その食を司る豊受大神(トヨウケノオオミカミ)の「受(うけ)」から取った。私も都会っ子なので、最初に入善町に来たときは、天然の湧き水で生活できることに驚き、感銘を受けた。また、米所でもある。私も米の仕入れを担当していたことがあるが、富山経済連(当時)に、無理を言って富山の中でも入善と黒部のコシヒカリが欲しいと言っていた。米と水というパックご飯に必要なものが揃っているところで事業をスタートさせた。当初は大変で、設立から2年後に工場ができたが、当初は神明の足を引っ張る会社だった(笑)。それが、4年目には黒字を出して、その時に益造専務と大喜びしたことを覚えている。その後、2ライン目が稼働した時点では、増設は2ライン目で終わると思っていた。当時はここまでパックご飯の需要が伸びるとは思っていなかった。Aラインの稼働からCラインまで10年。先ほどの舩木社長が『3億食』といったが、私は常々、経営理念としてオンリーワンではなくナンバーワンでなければいけないと言っている。ナンバーワンになれば、ヒト・モノ・カネの動きが有利に運ぶ。舩木社長の言葉でスイッチが入った(笑)。ウーケは私にとって一番かわいい子供。Hラインの稼働に向かって頑張っていきたい」。

乾杯の音頭をとったみな穂農協の細田勝二組合長は「米の消費が毎年8万t減る中、食生活の変化もあり、パックご飯は見事に需要を伸ばしている。おそらく、第4ラインの話もここ2~3年で出てくるのではないか(笑)」とエールを贈った。

中締めを行った神明の藤尾益造専務は「社長が4年目で黒字といったが、実は黒字だったのは2か月だけ。本当に大変だった」と振り返り、万歳三唱で会を閉じた。

〈米麦日報 2019年4月16日付〉