(株)はくばく(長澤重俊社長)のもち麦製品の販売が伸びている。もち麦が注目を浴びる前の2015年度と比較して2018年度は約9倍と大きく拡大した。

もち麦(もち性大麦)は、従来から食べられていたうるち性の大麦と比べ、プチプチとした食感等が好評で、お米に混ぜて炊いた麦ご飯は「毎日続けられる」と、消費者から受け入れられた。また、排便の改善を実感する声も多い。今回、本紙「米麦日報」は(株)はくばくの取締役営業本部長・長谷川郁哉氏(雑穀エキスパート)にインタビューし、もち麦製品の販売動向や今後の展開について伺った。
はくばく 取締役営業本部長 長谷川郁哉氏

はくばく 取締役営業本部長 長谷川郁哉氏

――以前と比べてもち麦の認知度が大きく向上しています。
 
長谷川
現在のもち麦製品の販売を開始したのが2012年。それ以前に原料のもち麦を2,000t仕入れて始めたのですが、最初はぜんぜん売れませんでした。その頃は業務用の麦ご飯に使用してもらうなど、何とか原料を使っていかなければと苦労していました。炊飯向けでなく、スープで食べる大麦として販売もしました。プチプチとした食感を活かした提案です。ただ、これもなかなかヒットしません。当時は力のある営業が、「新しいタイプの大麦です」と言って採用してもらうのがやっと。売り方も従来どおり、「食物繊維が豊富です」というPRです。
 
――しかし、爆発的にヒットし、ヒット後の市場がヒット前に戻ることなく、高止まりすることが何度もありました。
 
長谷川
そうですね。中でも爆発的なヒットとなったのは2016年にもち麦がテレビ番組で取り上げられたタイミングです。もち麦の研究は日本よりも海外で進んでいて、しっかりとしたエビデンスがあったという背景もありました。それ以前にも食物繊維が豊富な大麦が、血糖値の上昇を抑制するとか、生活習慣病対策として効果があるといった取り上げられ方はありました。しかし、2016年に取り上げられた時の切り口は「ダイエット」です。女性向けのキーワードにより、一気にセールスポイントが変わりました。また、その頃は今ほど認知度も高くないので、新しい食品素材として注目されたこともあります。
 
――非常に大きなインパクトだったのでは。
 
長谷川
テレビ放映の翌日と翌々日の2日間で、約2か月分の注文が入ったんです。納期が遅れるとかそういったレベルの話ではありません。ご迷惑をおかけしましたが、やむなく1か月半の休売を決めました。営業のメンバーも休みなく、慣れないお断りをするという事態。ヒット商品が生まれて、一時的に供給が追いつかないことがあっても、市場には何らかの代替製品があるものですが、もち麦は市場にありませんでしたので。当社としても初めての経験でした。
 
――2016年のヒットまでには様々な試みがあったのですか。
 
長谷川
そうですね。2012年に発売。2013年くらいから、情報収集や情報発信もスタートしました。大麦食品推進協議会での活動も行っていましたし。2014年にはNHKの「あさイチ」で大麦が取り上げられる機会もありました。そうした流れがあり、2016年にドンと動きましたね。
 
――ブームで終わらないところも、もち麦の特徴的な動きです。
 
長谷川
新しい食感が受け入れられ、毎日食べられるおいしさであること。そして、食物繊維が豊富なことで、健康効果を実感される方が多いということが大きいと思います。これまでは薬を飲んでいた方の、お腹の調子が良くなることもあります。そうした声をたくさんいただきました。
 
――営業戦略としては。
 
長谷川
全体の方針や企画は営業推進部が担いますが、店頭での販促企画は各営業拠点に任せています。地域性や取引先の企業に合わせた提案ですね。店頭と連動したお試しキャンペーン等も実施しています。また、営業の現場での提案内容や、実際の売場の情報を共有できるシステムを採用しています。この情報は商品戦略にも役立ちますね。PCに向かって仕事をしていると、隣の席の人の仕事も分からなくなります。社内の情報はできるだけオープンにしました。
 
――もち麦製品では、「もち麦うどん」もヒットしました。
 
長谷川
配荷が4,200店舗となり、当社の乾麺の初動としては過去最高です。非常に食感が良いうどんで、冷水で締めて食感を楽しむ方が多いようです。炊飯以外のもち麦の新しい食べ方提案が受け入れられました。

はくばく「もち麦うどん」

はくばく「もち麦うどん」

――さらに、そうめん、そばも投入されています。
 
長谷川 3品トータルで8,600店舗に採用いただきました。うち、半分がうどんですね。今年の1月にテレビ番組でもち麦が紹介された後、スポット需要にも応えたことが、今年の秋冬にもつながるという手応えがあります。
 
――もち麦製品の販売をさらに伸ばしていくには。
 
長谷川
当社で5,000名にアンケートを取りました。もち麦を知っている方は8割に達しています。しかし、食べたことがある方は約5割。知っているのに食べたことがない方が3割近くいることになります。また、ずっともち麦を食べてくれているのは13%でした。そう考えるとまだまだポテンシャルの高い商品です。「いつでも、どこでも、大麦・雑穀」が当社の目指すところです。「試してみたいけど量が多い」、「食べたいけど家でご飯を炊かない」という方もいて、パックご飯の「もち麦ごはん」や、開封してそのまま食べられる「そのまま使えるもち麦」といった商品も投入しています。サラダやスープのトッピングといった使い方のできる「そのまま使えるもち麦」は、メニュー提案の幅を広げる意味でも、さらに育てていきたい商品です。
 
秋には初めてもち麦を食べる方を想定した新商品も企画中です。楽しみにしていてください。
 
――ありがとうございました。
 
〈米麦日報 2019年7月8日付〉