令和元年産米の食味ランキング、「特A」過去2番目の54銘柄

令和元年産米食味ランキング「特A」54銘柄(日本穀物検定協会)
〈『A』→『特A』18銘柄、『特A』→『A』21銘柄など顔ぶれ変化顕著〉
(一財)日本穀物検定協会(井出道雄会長、伊藤健一理事長)は2月26日、令和元年産米の食味ランキングを発表した。対象は155産地品種銘柄(平成30年産154銘柄、平成29年産151銘柄、平成28年産141銘柄)で、最高ランクの「特A」にランクインしたのは、30年の過去最高55銘柄に次ぐ54銘柄となった。3年連続で入れ替わりの激しいランキングとなり、「特Aの銘柄数自体はほとんど変わっていないが、『A』→『特A』は18銘柄、逆に『特A』→『A』は21銘柄など、全体的に中身は相当な変化があった」(井出会長)というのが穀検の評価だ。なお、『B』以下は平成18年産以降、14年連続でゼロ更新となった。

155銘柄のうち、30年産から元年産にかけて評価に変化が無かったのは86銘柄(『特A』33銘柄、『A』38銘柄、『A’』15銘柄)で、ランクアップ34銘柄(『A』→『特A』18銘柄、『A’』→『特A』2銘柄、『A’』→『A』14銘柄)が、ランクダウン33銘柄(『特A』→『A』21銘柄、『A』→『A’』12銘柄)をわずかに上回った。このほか、新規対象などが2銘柄存在する。

このうち、「特A」54銘柄の内訳は、前年「特A」33銘柄、前年「A」18銘柄、2階級特進の前年「A’」2銘柄、新規1銘柄(福井いちほまれ)。産地として「特A」獲得経験が無い愛知と和歌山は、今回も逃した恰好だ(東京、大阪、沖縄は対象外)。また産地品種として「特A」を初獲得したのは「青森まっしぐら」「山形(置賜)雪若丸」「福井いちほまれ」「静岡(東部・中部・西部)きぬむすめ」「滋賀コシヒカリ」「高知ヒノヒカリ」「宮崎(西北山間)ヒノヒカリ」の7産地品種。「特A」54銘柄は対象155銘柄の34.8%にあたり、この「特A率」でも昨年に次ぐ結果となった(30年産35.7%、29年産28.5%、28年産31.2%、27年産33.1%、26年産31.6%、25年産29.0%、24年産22.6%、23年産20.1%)。

元年産は一部産地で作柄不良が見られたが、「たしかに1等米比率が低かった新潟では『特A』→『A』という結果もある(中越コシヒカリ、佐渡コシヒカリ)が、作況指数が著しく低かった佐賀ではそうした傾向が見られない。影響が無いとは言わないが、必ずしも影響したとは断定できない」(梅林政德理事)としている。

また、伊藤理事長は「毎年同じことを言っているが、『特A』の分割、あるいは『特A』の“上位”ランクの新設、もしくは基準米の変更は考えていない。たしかに全体としては『特A』が増えている傾向にあるものの、これは産地が肥培管理などの生産技術の面で熱心に努力してきた結果だ。この食味ランキングが商売の重要なファクターとしても注目され、定着している現状を考えると、いきなりハードルを変える必要は無い」とコメントした。

昭和46年産米から始まった穀検の食味ランキングは、今年で49回目。現在は穀検が選抜訓練した専門の評価員「食味評価エキスパートパネル」20名により、白飯の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目について、「複数産地コシヒカリのブレンド」を基準米に、これと試験対象産地品種を比較評価する「相対法」によって実施している。基準米と同等なものを「A’」、良好なものを「A」、特に良好なものを「特A」(平成元年産から設置)、やや劣るものを「B」、劣るものを「B’」とランクづけしている。

令和元年産米の食味ランキング

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〈米麦日報2020年2月27日付〉