全国パン粉工業協同組合連合会(関全男理事長=フライスター(株)社長)はこのほど、パン粉価格の考え方について、「パン粉全体の製造原価」をベースに実需者と交渉する考えを会員間で共有した。考え方はあくまで、「各事業者の製造原価の変動を、パン粉の製品価格に反映させる」というもの。

「これまで、小麦粉価格が改定されると、都度パン粉の価格を改定してきたが、パン粉価格を改定する時に、業界の一部において競争が見られたことは事実。現状を踏まえて、収益減少の窮地にあるパン粉事業者の経営基盤を維持・強化させるためには収益を確保する必要がある。パン粉産業全体の経済的地位の向上を図る上でも、自社本位の価格政策は控えて協調行動をとっていただきたい」と呼びかけた。

パン粉の製造原価には基礎原材料(小麦粉)、副原材料(イースト等)の仕入れ原価、製造コスト(人件費、光熱水道料、包装資材等)、運送費、マージン等がある。同会によると、一例として、家庭用PBパン粉で試算した場合、製造原価の上昇に対して、販売価格が上がらず、2015年対比で2020年は粗利益が3.8%失われているという。

また、パン粉の価格改定は、小麦の政府売渡価格の改定、製粉事業者の小麦粉価格の改定を経て行われるが、「小麦粉の価格が上昇しても、パン粉の価格引き上げに応じてもらえないことが続いている。昨年の小麦粉価格の引き下げ時に、パン粉の価格を引き下げではなく現状維持とするのがやっと。会員各社は苦しい状況が続いている。パン粉は小麦粉の使用割合が高く、小麦粉価格の影響を大きく受ける」(同会)。

そこに今回のCOVID-19(新型コロナウィルス肺炎)が追い打ちをかける。パン粉の年間の製造量は約16万t。うち、約9割が業務用だ。家庭用と、家庭用冷食向けの出荷は増えたが、それ以外の外食・中食向け、業務用冷食向けは減少している。

今回のパン粉価格の考え方は、会員に対して「事業継続・業界存続のために価格競争を避け、適正価格での販売のために製造原価主義で販売価格の交渉にあたろう」というもの。「強制力を持つものではないが、各社とも生き残りにかけて必死なのは同じ。この考え方を共有できなければ業界の存続は困難だ」(同会)と、強い危機感を示す。

〈米麦日報2020年6月9日付〉