全パン連、学校給食休業対策を文科省・農水省に要請、パン議連がバックアップ

全パン連(全日本パン協同組合連合会、西川隆雄会長)は6月5日、「第4回パン産業振興議員連盟」(中曽根弘文会長、渡海紀三朗幹事長)の会合(衆議院第2議員会館)に出席。会合後に西川会長が萩生田光一文科相、伊東良孝農林水産副大臣に面会し、緊急要望を提出した。全パン連は学校給食のパン・米飯を供給する事業者で構成されている。小・中学校の臨時休校に伴い、多くの事業者の収入が激減している。

パン産業振興議員連盟はパン産業の発展・振興を図る目的で2015年5月に設立。衆参の国会議員100名超が参加している。今回は30名が直接出席、19名が代理出席した。議題は、

△令和元年度予備費「学校臨時休業対策費補助金」(3月補助分)の遂行状況
△令和2年度補正予算「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」による4月以降の学校給食事業者への支援について
△今後の全国における学校給食主食提供(パン・米飯)の維持・継続について

全パン連からは西川会長(兵庫)、桑野龍一会長代行(福岡)、木元繁副会長(鹿児島)、足立哲也副会長(静岡)、山田明彦副会長(新潟)、上原晃道専務(東京)、草野洋一・全青連会長(兵庫)、辻井孝裕理事(滋賀)が出席。内閣府地方創生推進室の髙山泰参事官、髙田迪主査、農林水産省の道野英司大臣官房審議官兼食料産業局、平形雄策政策統括官付農産部長、文部科学省初等中等教育局の丸山洋司局長、平山直子健康教育・食育課長も出席した。

〈緊急要望書 ~新型コロナウイルスによる小・中学校等の臨時休校に伴う学校給食パン・米飯製造受託業者の救済について〉
パン産業の振興を目的に創設されました「パン産業振興議員連盟」の先生方には、日頃からご支援、ご協力を賜っておりますこと、厚く御礼申し上げます。

この度、議連の先生方のお陰で、新型コロナウイルス感染症対策のための一環として、学校給食関係事業者に対して臨時休業中の支援事業として、令和元年度補正予算で「学校臨時休業対策費補助金」を措置していただき、誠に有難うございました。

ようやくではありますが、全国の学校設置者または地方公共団体から、「3月分の学校給食パン・米飯加工賃」を、支給していただきはじめました。

しかしながら、先生方に格段の予算措置を取っていただいたことや、再度にわたる申請を促進しているにも関わらず、まだ一部の学校設置者または地方公共団体のご理解が得られず、折衝が難航している実態もあります。引き続き、お力添えをいただきますよう、よろしくお願い致します。

一方、2次にわたる令和2年度補正予算で、「新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金」が創設されたことを受け、文部科学省と農林水産省は、学校設置者等に対して学校給食用食材納入事業者への配慮を要請する旨、通知されました。

しかし、今回は、地方創生臨時交付金での対応であり、地方への限られた交付金で幅広い事業が対象になっていることや学校給食関係事業者が交付対象事例の中に含まれているとはいえ、奨励金等による支援の域でしかないこと等からして3月補助分同様の「学校臨時休業対策費補助金」の項目を盛り込んでもらう事を切に要望します。

私たち学校給食パン・米飯製造業者(以下、製パン業者)は、その生業を専らとする中小零細業者が多く、2か月・3か月と無収入が続けば倒産、廃業という業者が続出することが予想されます。約70年間、全国各地で学校給食の主食であったパンを作り続けた製パン業者は、一時6,000社を超えていましたが、いまや1,000社あまりです。

直近では1年間に約100社が廃業・倒産に至り、非常に厳しい事業環境のなかでどんどん仲間が消えていく。これが製パン業者の実情です。

この度の臨時交付金を窓口に申請しますと、「具体的な国から指示がない」「すでに行先配分が決まっている」等々、手続きの進捗状況は芳しくありません。われわれ中小の製パン業者には、新型コロナウイルス禍による「学校給食パン製造突然の長期事業停止」に対応できる力はありません。製パン業者が消えてしまえば、学校給食の主食の安定供給に甚大な支障をきたすことになります。

つきましては、われわれ学校給食関係事業者の経営状況、苦衷を勘案していただき、支援の観点から、先生方のそれぞれの地元自治体への働きかけなど、関係官庁ともども迅速な対応方、何卒よろしくお願い申し上げます。

〈米麦日報2020年6月11日付〉