コロナで小麦粉関連製品に大きな影響、聞いたこともない話が現実に

小麦粉二次加工品6品目の販売数量の増減率(KSP-POS)
〈パニック購買後の動きは品目ごとにさまざま〉
「プレミックス(調整粉)が店頭から消えた」。聞いたこともない話が現実になった。もちろん、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響によるものだ。

2月末の政府の小中高校への臨時休校要請、3月中旬から下旬の東京都や政府の外出自粛要請により、2回の大きなパニック購買が発生。その後も、在宅による需要の高まりにより、小麦粉関連製品も大きな影響を受けた。

製粉協会をはじめ、小麦粉二次加工品の業界団体が相次いで、「安心して落ち着いた行動をお願いします」といったメッセージを発信するに至った。

主食であるパンや麺は2月後半からコロナの影響を大きく受けている。グラフはKSP-POS((株)KSP-SP)から、小麦粉二次加工品6品目の、今年各週の販売数量の前年同期比増減率をまとめたもの。

他の食品と同じく、影響が大きく出たのは2月27日の政府による全国の小中高校への臨時休校要請と、3月23〜28日の東京都や政府からの外出自粛要請のタイミング。ここで増減率が跳ね上がるのはどの品目でも同じだが、その後の動きにはバラツキがある。

まず、パニック購買で消費者がビビッドに反応した「カップ麺」は、2度のヤマを超えた後に、4月中旬から動きが落ち着いた。日配品の食パンはおおむね10%増で5月中旬まで推移。チルド麺、冷凍麺は2〜3割の増加と大幅な増加だが、冷蔵庫・冷凍庫のスペースという限界がある。

常温保存可能なスパゲッティやプレミックスの跳ね上がり方は見たこともない水準で、プレミックスに至っては200%超が2週続いた。

そして、6月には外食の増加などの影響もあり、どの品目もかなり前年同月に近づいたが、依然として高止まりしている品目もある。

この動きから、この間、「常温長期保存可能な素材型の食品」の動きが良かったことが分かる。総体として調理の機会が増えていることは間違いない。7月以降の動きが注視される。

〈食品産業新聞 2020年7月23日付より〉