明星食品(株)(豊留昭浩社長)は去る1月18日、オンラインで「2022年春夏新商品発表会」を開催した。

【概況】
明星食品の2021年3月期は、第1四半期に前年同期の巣ごもり需要の反動があったものの、第2四半期に大きく盛り返し、上半期時点で前年を上回る進捗だった。それを牽引したのがチャルメラ・一平ちゃん・中華三昧に続く“第4の柱”として育成中のブランド「麺神」や、「チャルメラ もやしが超絶うまい まぜそば」、「明星 ひとり〆ラー鍋」などの新商品だ。通期も前年を上回る見通しとなっている。

コロナ禍の先行きが見通せない状況下だが、豊留社長は「新しい変異株の懸念はあるものの、2022年はウィズコロナからアフターコロナへの移行期になると思っている。経済活動の再開とともに外食などのソト消費が増加する一方、ニューノーマルの生活様式で浸透したウチ消費も、価値あるものは今後も継続すると見通している」と語り、引き続き、付加価値提案・商品を展開するとした。

【コロナ禍と即席麺市場】
2021年は袋麺が大幅に伸長したが、今まで“袋麺離れ”といわれていた20~30代の購入率が上昇し、中心顧客である40~50代の年間購入金額も上昇したことが大きな特徴だった。市場活性化に伴い、各社が新ブランド・味・カテゴリを投入したこともそれを後押しした。そこで明星食品は2022年、20~30代に向けた商品やプロモーションを積極的に投下すると同時に、40~50代の食頻度を維持するためのメニュー・機会提案、麺を活用した新カテゴリ提案を行っていく方針だ。

一方、カップ麺市場は中心チャネルであるCVS(コンビニエンスストア)の苦戦が影響し、住宅地近郊のSM(スーパーマーケット)・DS(ディスカウントストア)・CVSでの選別が加速した。商品としては高単価どんぶり系商品と、CVS各社が進めている低価格PB(プライベートブランド)商品の二極化が進んでいる。

明星食品では、
〈1〉メイン顧客である40~50代を呼び戻せるような商品
〈2〉付加価値型商品
〈3〉CVSに顧客を呼び戻すための他チャネル対応商品
――を投入していく。

【新商品〈1〉濃いぜ! 一平ちゃん】
焼そばのイメージが強い一平ちゃんブランドから“うどん”と“そば”を投入する。「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG 豚たまごうどん」「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG 豚ねぎそば」は、ともにつゆ・麺に豚だしが効いた商品だ。従来のうどん・そば商品のつゆは鰹だし・昆布だしがオーソドックスだが、それに豚だしを加えた濃い味が特徴。麺にも豚だしを練り込み、しっかりとした味わいを楽しめる。ともに198円(以下、税別価格)、2月7日発売。
明星食品「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG 豚たまごうどん」「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG 豚ねぎそば」

明星食品「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG 豚たまごうどん」「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG 豚ねぎそば」

コロナ禍によって量販店での20~30代向け商品がヒットしたが、明星食品ではその要因を「新しい味(宮崎辛麺・酸辣湯麺)や新しい形態・食べ方(もやしが超絶うまいなど)が受け入れられた結果と分析。
 
また、外食では太い麺や濃い味のうどん・そばがトレンドになりつつあり、いまだ従来型商品の多いうどん・そばカップ麺市場で、若年層を狙った新タイプのうどん・そばを提案していく。「縦ビッグの中では和風はまだまだホワイトスペースのフレーバーであり、縦ビッグのチャネルではSM・DSがホワイトスペース。そのチャネルで縦ビッグなのに手頃な価格を実現する」(中村洋一執行役員マーケティング本部長)。
 
【新商品〈2〉一平ちゃん油そば】
一平ちゃんブランドから“こってり味の油そば”を投入する。「明星 一平ちゃん 豚旨油そば」は、チャーシューだれ・焼き豚だれの旨味を効かせ、メンマの香りを付けた醤油味のマヨ付き油そば。193円、3月14日発売。

明星食品「明星 一平ちゃん 豚旨油そば」

明星食品「明星 一平ちゃん 豚旨油そば」

油そば市場は2011年度約10億円と非常に小さな市場だったが、2020年度は約100億円まで急激に成長。2026年度は約140億円の市場となる見込みだ。エリア別では関東が非常に大きな市場(金額ベースで全体の4割超)であり、その他のエリアも急激に伸びてきている。性世代別では男性の30~40代がコア顧客だ。メーカーシェアトップは明星食品で、中心ブランドである「明星 ぶぶか 油そば」が24%のシェアを占めているが、この商品はCVS向け。
 
SM向けは最大シェアの商品でも4%、次いで2%――と、いまだSMではブランドが確立されていない(全てインテージSRI調べ)。加えて明星食品の調査によると、一平ちゃんのブランドイメージは「からしマヨネーズ」「濃い」「こってり」など、焼そば以外にも活用できるものが多い。そこで明星食品では、一平ちゃんのブランドを冠した油そばを投入することとした。
 
「もともと『一平』という名前自体が『平成で一番おいしいラーメンを作る』という明星の心意気の下に名付けられたものなので、焼そばなどカテゴリの限定はない。ブランドの奥の深さやその心意気を踏まえるとラーメンも考えたいと思っているし、極端な話、袋麺を作ってもいいのではないかとも思っている」(豊留社長)。
 
【新商品〈3〉麺神・宮崎辛麺】
縦型カップの「明星 麺神カップ 宮崎辛麺 濃香激辛醤油」(230円、3月7日発売)と、袋麺「明星 麺神 宮崎辛麺 濃香激辛醤油」(170円、3月21日発売)を投入。

明星食品「明星 麺神カップ 宮崎辛麺 濃香激辛醤油」「明星 麺神 宮崎辛麺 濃香激辛醤油」

明星食品「明星 麺神カップ 宮崎辛麺 濃香激辛醤油」「明星 麺神 宮崎辛麺 濃香激辛醤油」

明星食品では既にチャルメラブランドの宮崎辛麺を投入しているが、大きな違いは麺とスープだという。「麺神は噛み応えのある超極太麺で、スープは濃香、ターゲットは時間をかけても本格的な味を求める40~50代男性。チャルメラは歯切れがよい中細のフライ麺で、スープはスパイシーな辛さ、ターゲットは簡単・手軽に美味しさを求める30~40代女性」(中村本部長)。
 
【女性目線新ブランド〈1〉サラダが超絶うまい】
「もやしが超絶うまい」シリーズの次に投入する新ブランドが「サラダが超絶うまい」シリーズだ。
 
「明星 サラダが超絶うまい 冷やしまぜそば 信玄監修ごま味噌味」「明星 サラダが超絶うまい 麺屋こころ監修台湾風旨辛味」の特徴は、主役が付属の麺ではなく、別で用意するサラダである点。冷やし専用麺と麺用液体スープ、サラダ用ふりかけが入ったこの商品と、市販のカットサラダを組み合わせれば、手軽に野菜を摂取しながら人気店監修の本格的な味が楽しめる。180円、3月14日発売。

明星食品「明星 サラダが超絶うまい 冷やしまぜそば 信玄監修ごま味噌味」「明星 サラダが超絶うまい 麺屋こころ監修台湾風旨辛味」

明星食品「明星 サラダが超絶うまい 冷やしまぜそば 信玄監修ごま味噌味」「明星 サラダが超絶うまい 麺屋こころ監修台湾風旨辛味」

この新ブランドと後述の「明星 The 淡麗」は、ともに女性マーケッター・デザイナーが手掛けた女性目線商品だ。「サラダが超絶うまい」は、コロナ禍によって調理意欲が高まった20~30代をターゲットにしており、パッケージは「主役のサラダを強調した大胆かつシンプルなデザイン」がコンセプト。「シンプルなロゴを大きくレイアウトして、新しさとインパクトを両立。サラダを想起させる明るいカラーリングと、サラダがメインの盛り付け写真を使用して、新しい食べ方のまぜそばであることをアピールする」(デザイナー)。
 
【女性目線新ブランド〈2〉The 淡麗】
明星食品によると、近年のラーメン店業界は従来から根強い人気の「G系(ガッツリ系)」(濃厚・ボリューム感が特徴、20~30代男性)に加え、すっきりかつ複雑な旨味の「淡麗系」(40~50代男女)に二極化している。カップ麺市場では(パッケージデザインも含め)ガッツリ系商品が中心だが、淡麗系商品はほとんどないという。その空席を狙い、淡麗系ラーメン店とコラボした新ブランド「明星 The 淡麗」を投入する。コンセプトは「洗練された味わいとパッケージで魅せるカップ麺」だ。
 
今回は第1弾として、麺や金時(東京・江古田)監修の「明星 The 淡麗 麺や金時監修 塩わんたん麺」を発売。4種の鶏だしによるスープの旨味と、焦がしネギ風味の効いた鶏油(別添)、明星食品の強みであるノンフライ麺が特徴だ。具材は大ぶりなわんたんとネギ。260円、2月14日発売。
 
パッケージは「プレミアム感を感じさせる、引き算のデザイン」がコンセプト。“引き算メイク”のように、要素を削ぎ落す発想であえて最低限のメッセージ・デザインとし、シンプル・洗練された印象を訴求する。「他の即席麺とは一線を画したプレミアム商品であることを、言葉ではなくデザインで訴求する」(デザイナー)。
 
〈米麦日報2022年1月25日付〉