【環境対応機器・資材特集】【新春味噌特集】

【環境対応機器・資材特集】
「環境問題」を広義に捉えれば、2つに分けられる。1つは、空気・水の清浄化や食品の異物対策、安全対策など。我々を取り巻く直接的な環境そのものを守り、安全・安心を担保するということ。もう1つは、節電や省エネを通じて、化石燃料の消費量を削減し、CO2を削減したり、自然エネルギーなどによって、環境への負荷を低減するということ。大まかに言えば、温暖化対策(CO2原因説には疑問の声もあるが)、エネルギー資源対策と言える。前者については、近年、ハンバーガーチェーン、カップ麺、プリンなどの問題があったが、ごく最近のカレーチェーンのビーフカツ問題も、実は異物混入の疑いによる廃棄から始まっている。また後者では、昨年12月のCOP21により、2020年までに世界各国がCO2削減目標を提示することを決定。さらに最近は、需給構造の変化による原油価格の下落も注目される。日本は石油を始めとするエネルギー源を海外に頼っていることから、価格が下がるメリットが大きいが、一方で資源国の経済力・購買力が落ちることによる影響もあり得るなど、様々な影響が想定される。

2020オリンピックに向け、HACCP義務化へ

「フードディフェンス(食品の防御)」という言葉が普及してきた。ハンバーガー、カップ麺、冷凍食品、プリンなど、相次いで起きる食品の異物混入問題などに対して、「フードセーフティ」よりも、さらにクリティカルな表現が必要になってきたためだろう。「フードセキュリティ(食品の安全保障)」という表現も散見されるようになってきた。

実は、最近起きたカレーチェーンのビーフカツ問題も、異物混入問題に端を発している。これは、異物混入の疑いのあるビーフカツの全ロット(約4万枚)を廃棄物処理業者に委託したことから始まっている。本来は販売されることのないビーフカツ。当然チェーンの名前など出る筈のない話だが、たまたまビーフカツにチェーンの名前を付けてしまった量販店で、さらに偶然、チェーンのパート従業員が発見して通報したという、偶然の連鎖による事件である。

幸い、健康被害などは報告されていないが、異物混入がこのような事件に発展する可能性もあるという事例である。

ちなみに、フードディフェンスは、意図的な外部からの危害因子の混入から食品を保護し、食品の安全を確保すること。フードセーフティは、食品製造・供給工程における危害因子による汚染の防止や低減を図り、食品の安全を確保すること。フードセキュリティは、安全な食品を全ての人がいつでも入手できるよう保障し、食品の安全を確保すること‐である。

この3つを通して「食」を守るために、一段と監視対象範囲も拡大し、幅広い視野から見た様々な観点からの再検討や、異業種からの参入も重要になっていると言える。防犯カメラのメーカーやセキュリティ会社などからのアプローチや提案が増えてきており、様々な展示会でも、フードディフェンスやフードセキュリティに関する展示・提案を見ることができる。

食品業界で最も注目を集める「国際食品工業展」(=写真)では当然のことだが、昨年3月に開催された「セキュリティショー」でも、「フードディフェンスゾーン」が設置され、食品工場を異物混入などのリスクから守り、安全に生産するための製品やサービスが出展された。監視カメラ、入退管理(バイオメトリクス・ICカード)、従業員管理(勤怠管理、私物管理、ロッカー、位置検知システム)、作業服・名札、警備サービス、照明、カギ・錠前、警報装置、フェンス、車両管理、生産ライン管理、トレーサビリティなどである。

【新春味噌特集】

昨年末は暖冬で、みその出荷量が伸び悩んだところもあるようだ。15年のみその出荷量は若干前年を下回って着地する模様。和食文化の保護・継承の流れから、みそにもスポットライトが当たり、各地の小学校などで展開される食育の中では、しっかりとダシを取るところから、子供たちに教え、和食を改めて感じる機会が増えている。みそ健康づくり委員会の各地方におけるイベントも大盛況のようで、地産地消の意味を含めたみその消費量向上計画にも期待したい。

15年のみそ業界は、全国味噌工業協同組合連合会(全味)がまとめた生産量・出荷量の集計によると、出荷量は消費増税による反動の影響で、4月を除いた1月~5月で前年を下回った。6月、7月、8月と前年を上回ったが、9月、10月で前年を下回り、11月は前年並みで推移した。

一方、生産量は、1月~11月の集計で、前年比約7%減と落ち込んでいる。消費増税の影響を考慮して、生産調整をしたようにも伺える。ただ、ある大手メーカーでは、金額は前年並みで推移していることから、「高付加価値商品の販売が好調なのではないか」とする意見も聞かれた。

総務省の家計調査によると、支出金額が4月~9月で前年を上回って推移しており、数量は若干前年を下回っているものの、平均価格も上昇傾向となっていることから、金額でみた市場規模は上向いてきていると言える。

15年の秋冬新商品では、異業種との共同開発により、付加価値を明確に示した新商品のほかに、小容量でありながら徹底的に品質にこだわった高価格帯の新商品が並んだ。

マルコメのタニタ食堂監修シリーズの大ヒットを受けて、まず、ひかり味噌が新商品「女子栄養大学 栄養クリニック監修減塩みそシリーズ」を投入。ターゲットは「自分自身の健康、家族の健康のことを思い、少しでも身体に良い食事を心がけている女性、減塩商品はおいしくないと思っている女性。コンセプトは、毎日食べることが楽しみになる、おいしく減塩できる商品とし、減塩の物足りなさを感じさせない商品」とした。「無添加減塩みそ」は、「あらゆる料理に合うよう仕上げた。当社標準品に対して、塩分を25%カットした。

ハナマルキでは「国立循環器病研究センター認定」のだし入りみそを「おいしい減塩」という新ブランドを立ち上げ健康を軸とした新商品を発売。同シリーズは同社の一般的な無添加みその食塩相当量と比較しても30%減塩を達成。全国味噌業公正取引協議会の規約では、「減塩みそ」とは同種の標準的なみそと比較して食塩相当量で15%以上減塩したものとされており、これも満たした設計とした。おいしさの品質に関しては、減塩による物足りなさを補うため、みその甘さに主体を置いた。原料のコメの比率を大豆に対して多くすることで、コメ由来の糖分を多く含んだものとし、発酵菌である酵母の添加量を増量し香りやうま味を強くすることに成功しているとした。

宮坂醸造では丸高蔵の蔵人(名工)が責任醸造した減塩みその最高峰「無添加 蔵人の技」(同450g、同800円)を投入して、小容量で高品質な商品を求めるシニア層をターゲットに訴求していく。さらに、マルサンアイは「だし入りあわせ減塩」、宮坂醸造が「神州一50%減塩」、新庄みそが「食塩50%カット減塩みそ」を発売し、減塩率を上げながら、おいしい減塩を目指した新商品の投入が目立ち、この傾向は16年に入ってもますます強まっていくだろう。