味の素社長交代、藤江執行役専務が4月1日付で社長昇格、西井社長は執行役に

味の素 藤江次期社長、西井社長
味の素は1月31日開いた取締役会で、藤江太郎執行役専務食品事業本部長が代表執行役社長CEO(最高経営責任者)に4月1日付で昇格する社長交代人事を決めた。西井孝明代表執行役社長CEOは同日付で退任し、執行役となる。

あわせて同日付で、白神浩執行役専務CIO(最高情報責任者)の代表執行役副社長CIOへの昇格と、伊藤雅俊執行役会長、福士博司代表執行役副社長CDO(最高デジタル責任者)の退任(両者とも執行役に就任)を決めると共に、藤江次期社長、白神次期副社長ら執行役9人による新執行体制を発足させる。

同社では社長交代の理由として、中期経営計画の25年度目標に向けた構造改革が順調に進展し、今年度内に実現の目途が付いたことや、ASV(味の素グループの共通価値)経営の基盤も整ったとの見地に立ち、2025年以降を見据えて、藤江次期社長を中核に、「食品とアミノサイエンスの無形資産の融合による次世代の経営チームで、期待される成長を確かなものにできる」と判断したことを挙げている。

これに伴い、執行役会長は設置せず、6月下旬付で伊藤氏、西井氏、福士氏は執行役を退任して特別顧問を委嘱し、新執行体制の支援と外部団体の役職などを担うとしている。

〈志と熱意を受け継ぐ〉
藤江次期社長は同日のオンライン記者会見で所信表明として「このたび西井CEOからたすきを受け継ぐことになった。身震いするほどの緊張感と胸高鳴る思いで一杯だが、全身全霊をかけて覚悟を持って尽力したい。私の役割は西井CEOが取り組んできたASV経営と『食と健康の課題解決』という志、熱意を受け継ぐことだ。そして取り組みを磨きに磨いて加速させ、味の素グループを持続的に成長させることだと考えている」と述べた。

続けて「創業以来、積み重ねてきたアミノ酸技術や知見を最大限生かし、『食と健康の課題解決』を通じて10億人の健康寿命の延伸と、50%の環境負荷低減の実現など、当社ならではの新事業モデルの創造、サステナビリティ推進によって、世界中の生活者の皆様、志を共有していただける多様な関係者の皆様に、幸せの素を提供し続ける企業として持続的に企業価値を高めていきたい」と述べた。

続いて西井社長は退任あいさつの中で「藤江さんを次期社長とした理由は、構造改革ステージに続く、味の素グループの成長ステージへの転換をけん引することに実績があり、私よりも力があると判断したことだ。藤江さんは原料高騰が続き、当時赤字に転落しかけたフィリピン味の素を再生した辣腕経営者であり、藤江社長とする新たな経営チームは、これまで以上にASV経営の好循環サイクルを回し、人材を強化し、従業員のエンゲージメントを高めて、生活者や顧客の価値向上、投資家の評価につなげていくと確信している」と述べた。

【新社長略歴】
藤江太郎氏(ふじえ・たろう)京都大農学部卒。1985年味の素入社。中国での勤務などを経て、2011年フィリピン味の素社長、2015年にブラジル味の素社長を歴任。2017年に常務執行役員、2021年6月に執行役専務食品事業本部長(現職)に就任。60歳、大阪府出身。