3月1日からアサヒが、4月1日からキリン、サントリー、サッポロが樽生・瓶の出荷価格を引き上げた。それに伴い、飲食店では、瓶ビールが10%程度、生ビールが3~5%程度値上げされている。

消費増税や酒税増税などのとき、流通各層は実施前に在庫を厚くして、利益を確保するのが通例の商行動だ。今回、流通各層でそのような動きはもちろんあるにはあったが、ビールメーカーの想定を大幅に下回った。この要因は何であるか。

一つは樽生ビールという特殊性だ。日付があまりに古いと味が変化する可能性が高まる。次に卸・酒販店が在庫のダブつきを懸念したこと。これは飲食店も同じことだ。外食不況と言われる逆風が吹いており、飲食店に余裕はない。

想定を下回る仮需を、メーカーは静観している。山高ければ谷深し、で均せば結局同じことだし、仮需のボリュームが増えるほど、今後の需給の見通しが立てにくくなる。空樽容器の回収に追われることもない。

電気料金や牛丼、納豆など4月から相次いだ値上げ。しかしコストプッシュでデフレからインフレとなっても、実需を伴わなければ景気は良くならない。

業務用ビールは比較的、スムースに値上げできたとはいえ、4月以降の需要をしっかり見極める必要がありそうだ。ビールの仮需があったにも関わらず2月も3月もビール類総市場は前年比マイナスだった。

〈食品産業新聞 2018年4月5日付より〉