来年10月の消費税率引上げの際に「消費税還元セールの解禁」が政府内で検討されている。加工食品は軽減税率の対象なので、問題になっていないが、衣料品や酒類などの卸売業は一斉に警戒感を強めている。

前回の消費税引き上げ(2014年4月、5%から8%へ引き上げ)のときに、中小企業・小規模事業者に実質的に増税分を負担させるなどのいじめを防止するために、転嫁対策特別措置法が施行された。小売業の「消費税還元セール」も禁止された。

しかし、6月15日に閣議決定した「骨太の方針」は、全く逆の方向性を示した。「駆け込み需要・反動減といった経済の振れをコントロールし、需要変動の平準化、ひいては景気変動の安定化に万全を期す」(同)とし、これに基づいて、▽消費税還元セールの解禁▽転嫁法の改正▽公取委の「転嫁Gメン」の運用見直し――が報じられている。

中小事業者もこの“政策転換”に面食らっている。日本商工会議所の三村明夫会頭は「中小企業にとっては消費税が上がった時に、大企業への価格や最終的な消費者への価格にスムーズに転嫁できることが大事であり、価格に転嫁しないという運動には反対だ」と表明した。

そもそも、前回増税時に景気が冷え込んだのは、駆け込み需要と反動減があったからなのか? 安倍政権お得意の「思い込み」でないことを祈りたい。

〈食品産業新聞 2018年7月12日付より〉