ボーっと生きているつもりは無いのだが、思わぬ食べ物が流行っていると人から聞かされて、少なからず驚くことが増えている気がする。最近では麻婆豆腐だ。中国・四川料理特有の、トウガラシとホワジャオ(花椒)によるスパイシーで舌がしびれるような辛さ「麻棘(マーラー)味」に魅せられている人が増えているようで、「マー活」というキャッチーなキーワードも広がっているとかないとか。

しかし麻婆豆腐は、豆腐を使った家庭料理としては、どの付く定番であり、関連メーカー各社が販売している専用調味料も、堂々のロングセラー商品も少なくない。それをいまさら流行っていると言われても、にわかには信じがたいが、今年4月に東京・新宿中央公園で開かれた、四川料理のイベントでは、2日間で6万人を超える来場者を集めたと言われており、「麻棘味」への関心が高まっていることは間違いないだろう。

それにしても、本格四川料理風の麻婆豆腐は、汗が噴き出るような辛さである。水を飲むとさらに汗が出るので控えようとはするのだが、どうしても水を飲まずにはいられず、そして滝汗をかく。まさにマッチポンプ。

完食後はもうハンカチも襟元も汗でぐっしょりなのだが、不思議な清涼感がある。その辺りが、「麻棘味」の魅力なのだろうか。その意味では、今年のような猛暑の時こそ、麻婆豆腐が夏バテ対策に効果的かも知れない。

〈食品産業新聞 2018年8月9日付より〉