過日、東京のある理系大学の市民講座を聴講した。テーマは「災害からどのように逃れるか?」。

講座では、東日本大震災時の釜石の小学校の防災教育により小中学生の99.8%が生存した「奇跡」を紹介、続けて災害時の人々の「避難の三原則」が説明された。当時度々報道された「三陸の知恵」であり、それは〈1〉自然災害は想定通りに起きるとは限らない一つのシナリオ〈2〉どんな事態にも、できる限りの対応をする。命を守ることに主体的であれ〈3〉まずは何よりも自分の命を守り抜く。真っ先に逃げることで、逃げられない人の心理状態を打破し、周囲の避難行動も促せる。

また、講座では頻発する自然災害を想定した非常食の日頃からの準備について語り、災害が起こった直後、家族が3日間生活できる食と水の備え、次のステップのやや落ち着きを取り戻す時期(電気の回復。約1週間後~)、さらに日常に向かう回復時期(約1カ月後~)の災害食の骨組みを説明。

今年も日本では7月の西日本豪雨、北海道胆振東部地震(震度7)、9月の台風21号・24号などによる被災が続いた。「天災は忘れたころにやってくる」(物理学者・寺田虎彦)。まずは非常食と水の備えが必要だ。しかし、これを実践している家庭は子供のいる家庭ですら半数以下。この備えの強化促進は食品企業の大切な責務でもある。どんなに防災性を高めても、逃げる「意識」と備える「行動」がなくては命を守ることはできない。

〈食品産業新聞 2018年10月25日付より〉