SDGs経営が標榜されて久しい。最近、ある企業トップの「口にするのは簡単だが、仏に魂を入れることこそが肝心だ」との言葉に考えさせられた。
 
環境・貧困・人権など、SDGsの謳う理念は、一見、至極当然だ。経営側も社員も「それはそうだろう」と動く。しかし、そこに魂がなければ、単なるお題目に終始し、人の心を動かすことはできない。
 
近江商人の商売哲学に「三方よし」という言葉がある。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三者がよしとなる商いをするべきという教えだ。食品酒類業界は、その理念を常に考えていたし、SDGs以前から「自分さえよければ」という企業は淘汰されていただろう。
 
そのトップは「社会貢献とか、難しいことはいい。自分の仕事や日々の活動が“世のため人のためになっているかどうか”を自問する。その想いがにじみ出るかどうかは、お客様にも分かるものだ。
 
自問を突き詰めていけば、社員自身のやりがい・生きがいにもつながっていくし、結果として生産性も上がる」と指摘する。
 
自分のためだけではなく、日々の仕事が誰かの役に立っている。本質的にはそうだろう。そうでない会社は継続できない。
 
しかし、そのことを不断に、仕事のやりがい・生きがいに転じていくことはそう簡単なことではない。日々の些事に追われ続けるのが、筆者も含めて小人の常だからである。