20年前の2001年9月10日は国内で初めてBSE(牛海綿状脳症)が確認された日だ。世間的にはまだ狂牛病と呼ばれていたころ。当時、私は一消費者としてニュースを見ていたはずだが、実はあまり記憶がない。翌日のアメリカ同時多発テロ事件の衝撃があまりにも大きかったためだろうか。
 
とはいえ、その日を境にBSEは大きな社会問題化した。2003年にはBSEで米国産牛肉の輸入が禁止され、その後、牛肉の消費は長期間にわたり低迷した。
 
5年後の2006年9月10日、都内の食肉小売店で組織する東京食肉組合が、新宿駅前で「牛肉はもともと安全だ」と題したキャンペーンを実施した。試食を通じて和牛・国産牛・米国産・豪州産を含め牛肉の安全性とおいしさを消費者に伝えるもの。お役所だけに任せられない、街のお肉屋さん自らが牛肉の消費回復のため立ち上がった。
 
さらに5年後の2011年には原発事故に伴う放射性セシウム問題で牛肉消費は再び打撃を受けたが、当時も業界による消費回復の取り組みが繰り広げられた。そうした業界の努力の甲斐もあり、つい最近まで空前の肉ブームとまで言われるようになった。
 
BSEは、畜産業界にとどまらずあらゆる方面に影響を及ぼした。それでも多くの関係者の努力により乗り越え、業界として成長していった。そしていま、コロナ禍で牛肉の需要は厳しい状況にある。先行き不透明だが、業界にはそれを乗り越える力があると信じている。
 
〈食品産業新聞 2021年9月13日付より〉