秋冬チョコ、5年連続で市場拡大 “無垢チョコ”がけん引、シニア層取り込む

各社のチョコレート商品(左上から時計回りにロッテ、明治、森永製菓、不二家、ネスレ日本)
〈徳用袋入り、ナッツチョコも寄与〉
昨年の秋冬チョコレート市場は、小売ベースで前年を若干上回り、5年連続で拡大した。健康志向への対応でシニア層の需要を取り込んだ無垢チョコ(ナッツ等の入っていないシンプルなチョコ)がけん引し、近年のチョコレート市場は継続的に伸長。徳用の袋入り商品やナッツチョコも寄与している。昨年末から健康志向に一服感がではじめるなか、今シーズンは健康志向品の打ち出し方を変えるとともに、高度な技術力により嗜好性を高めた新商品が多数店頭化される。

生活者が健康志向のチョコレートを購入する際は、カカオ含有率よりもポリフェノールを重視している。ロッテが昨年、20~60代男女1万人を対象に実施したWEB調査から明らかになった。購入重視点として「ポリフェノールが摂れる」が最多で、「身体に良さそう」がこれに続く。以下、「カカオ含有率が高い」「効果が期待できそう」「甘さ控えめ」「ひと口サイズ」「カロリーが低い」の順。

同社は今秋、「ポリフェノールショコラ」(カカオ70%、カカオ50%)を発売する。パッケージに1枚あたりのポリフェノール量を大きく記した。

ポリフェノール訴求で先行する明治「チョコレート効果」シリーズは今年で発売20周年。「カカオポリフェノールの持つ価値をしっかりと伝え、チョコレートの食習慣を大きく進め、市場拡大に貢献したい」(同社常務執行役員・片桐裕之氏)。同シリーズは、食べ続ける理由はおいしさにあるとの考えから品質改良を実施。カカオ豆のロースト条件を見直し、ポリフェノール量を維持しつつ苦味や渋味を低減した。

ネスレ日本は、60代以上のシニア層が購入者の約半数を占める「キットカット ミニ 抹茶のちから」において、今秋からポリフェノール(茶カテキン)に加え、ルテインを前面に打ち出す。1日2枚でルテイン約0.4mg~1mgを摂取できることをパッケージ上に表記した。

新商品が多数発売される秋季商戦といえども、菓子の主戦場がエンドから定番売り場に移行するなか、「なんとなく身体に良さそう」というイメージだけでは売り上げを維持することは難しくなっている。したがって今秋は、パッケージ前面でより明確に健康機能を打ち出し、指名買いの獲得に乗り出す動きが活発化する。

嗜好性の点では、不二家「ホームパイ 大人のリッチチョコ」に注目。パイ生地は同社富士裾野工場(静岡県裾野市)で作り上げた自家製発酵種と富士山の天然水を仕込み、チョコを練り込んで焼き上げた700層から成る。チョコは同社平塚工場で焙煎したカカオ豆でホームパイ専用に配合したミルクチョコを使用。エンローバー(チョコ掛け機械)を新たに導入し、今秋より本格展開に乗り出す。

また、森永製菓はビターチョコの売れ行きが鈍化し始めると他フレーバーが上がってくるとの見解から、「カレ・ド・ショコラ」にコンビネーションタイプの商品2品、「ストロベリー」と「アーモンド&ヘーゼルナッツ」を追加する。

〈食品産業新聞 2018年9月3日付より〉