シリアル市場が復調の兆しを見せている。具材や味を切り口にしたバリエーション展開が広がるなか、特に好調なのがチョコレートフレーバーだ。健康感や簡便性というシリアル本来の価値に、幅広い世代が好むおいしさとカカオの健康価値が加わり、売り上げと間口を拡大。チョコという嗜好性もあいまって、間食などシリアルの新たな食シーン開拓にも寄与している。さらに一部ユーザーの間ではグラノーラからコーンフレークへの回帰と、より健康感のあるオートミールへの深化がみられる。

日本スナック・シリアルフーズ協会によると、2018年シリアル出荷実績は数量前年比3.4%減の6万7205t、金額2.4%減の551億円となった。グラノーラが数量9%減、金額6%減と2年連続で減少する一方、コーンフレークは数量7%増、金額3%増と伸長した。

近年の市況を振り返ると、2012年頃再来したグラノーラブームを機に、シリアル市場は前年を2ケタ以上上回る急激な拡大を続けてきた。これを受け国産大手では15年、16年頃にかけて生産ラインを相次ぎ増設。売り上げの中心をヘビーユーザー向けの大容量タイプが占めるようになるなど、シリアル食の習慣化が進んだ。

やがて販促の軸足が店頭提案や商品開発へ移行。すると、「業界全体でシリアルの話題が無くなり、新規ユーザーを獲得できなくなった。味に飽きた人や何となく買わなくなった人も出てしまった」(メーカー)ことから、17年以降、市場全体に一服感が漂ってきた。

そこで各社は喫食機会の創出を図るため、さまざまな施策を展開した。例えば日本ケロッグは、今年2月から「オフィス ケロッグ」を本格的に開始した。働き方改革がとなえられるなか、朝食や間食の時間帯にシリアルを社内で自由に食べられるサービスで、商品の配送やシリアル喫食用の牛乳、カップなど付属品の提供、定期メンテナンスをサポートする。「社員食堂がない企業を中心に引き合いが増えている」(同社)とし、2020年までに1000事業所への導入を目指す。

商品軸の施策では、バリエーション化が加速。特に抹茶やきなこなどの和フレーバーと、人気素材のイチゴやナッツを採用した商品は根強い人気だ。直近ではチョコレート系が好調。シリアルの健康感にチョコレート(カカオ)の健康感やおいしさ、嗜好性が加わり、幅広い世代に支持されている。

カルビーは今年3月、「フルグラ チョコクランチ&バナナ」をリニューアルした。トッピングのバナナの加工工程を見直すとともに、食感を高めた。「チョコレート味の人気は高く、親子で一緒に食べられると喜ばれている」(同社)。今回、リニューアルに併せて抽選で877(バナナ)人に賞品が当たるキャンペーンを実施している。
3月にリニューアルした「フルグラ チョコクランチ&バナナ」(カルビー)

3月にリニューアルした「フルグラ チョコクランチ&バナナ」(カルビー)

また、日本ケロッグは今春、「ケロッグ ハーシー チョコビッツ とろけるチョコレート」「五穀のサクサクカカオ」を発売。前者は、先行発売した韓国での好調を受け、昨年日本でも「ケロッグ ハーシー チョコビッツ」を導入、そのシリーズ第2弾として提案するもの。「購入者の4割を新規が占めており、中心は10代と、40代の親たち。これまでシリアルの浸透率が特に低かった若い層を獲得できている」(同社)。一方、後者は5種穀物入りで栄養バランスのよいシリアルとして30代から40代向けに提案。2品共に一粒ずつ摘まんで食べられる形状のため、間食など新たな食シーンを開拓している。

「ハーシー チョコビッツ とろけるチョコレート」(日本ケロッグ)

「ケロッグ ハーシー チョコビッツ とろけるチョコレート」(日本ケロッグ)

輸入シリアルでもチョコフレーバーが好調だ。鈴商が展開する「ファミリア」(スイス)ブランドの「スイスチョコビッツ」は、根強い人気がある。「市場全体でグラノーラが苦戦しているが、この商品は指名買いが多く、売り上げが安定している」(同社)。

「ファミリア スイスチョコビッツ」(鈴商)

「ファミリア スイスチョコビッツ」(鈴商)

〈コーンフレークが伸長〉
コーンフレークは昨年以降、好転している。各社の施策が功を奏し、グラノーラブームでシリアルを食べ始めた層の一部や、かつてコーンフレークを食べていた大人層、さらにはこれまでシリアルを食べていなかった大人層も購入しているためだ。
 
日本ケロッグは昨年、子ども向け商品を箱から袋へと一新し、保存性や利便性を高めた。さらに日本発売55周年を記念した期間限定のビンテージパッケージ品を発売すると、「普段はシリアルを購入しない大人のユーザーも獲得できた」(同社)という。通常パッケージについても今年3月に、4年ぶりに刷新した。このような一連の販促により、子ども向け商品群は前年比2桁増で推移している。
 
〈国産と輸入の価格差は拡大、オートミールにも期待〉
近年は、国産と輸入シリアルの価格差が広がっている。国産品の稼働率上昇による低価格化が主な要因。カテゴリーにもよるが、店頭売価で1gあたり0.4円~0.8円ほど開きがある。「価格で勝負できない分、地道に提案していくしかない」(輸入代理店)という状況だ。
 
だが、ここ数年は、より健康価値を訴求できるシリアルとして輸入オートミールの需要が拡大してきた。もともと味の決まっているグラノーラやコーンフレークに比べ、自分好みにアレンジできることから習慣化しやすいことも支持される理由。
 
豊産業は昨年、アメリカオートミール市場シェアトップの「クエーカー」から、日本向けの「インスタントオートミール スタンドアップパウチ オリジナル」を投入。併せて、「インスタントオーツスープ」「オーバーナイトオーツ」など初心者でも食べやすいレシピを紹介すると、「健康や美容志向の高い層にヒットし、一定の効果があった。カテゴリー全体の活性化にも貢献できた」(同社)という。

「クエーカー インスタントオートミール スタンドアップパウチ オリジナル」(豊産業)

「クエーカー インスタントオートミール スタンドアップパウチ オリジナル」(豊産業)

近年のシリアル市場は、その健康価値や簡便性、保存性などが現代人のライフスタイルにフィットし、“第3の朝食”として拡大してきた。この特徴はコメやパンにはないシリアルの強みだ。直近のセカンドフレーバーの好調を主力品の売り上げにつなげることで、シリアル市場は再び成長軌道に乗りそうだ。