食品業界では、世界的な需要拡大に伴う原材料価格の高騰と、円安による輸入調達コストの上昇を受け、 “値上げの春”を迎えている。製品値上げになかなか踏み切れないでいた味噌業界でも、ついに値上げの動きが出てきた。中京圏を主力とするマルサンアイとイチビキが4月からの値上げを相次ぎ発表した。味噌は地域性が高く、中京圏は豆味噌の一大生産・消費地である。輸入・国産ともに食品用大豆の調達コストが上昇を続ける中、原料大豆の使用比率の高い豆味噌メーカーから値上げ必至の状況となった。

輸入大豆コストは、シカゴ大豆は昨年同時期の$13前後から軟化したものの、現在も$10前後で推移し、加えて北米農家に支払うプレミアム(作付奨励金)は高止まりしている。為替は、今年度上期は概ね1ドル=102~103円で推移していたが、直近は119円前後で推移しており、円安により調達コストが大幅に上昇している。

1月26日に値上げを発表したマルサンアイは「現在の輸入大豆の実質仕入れコストは、為替の円安を勘案すると2011年比で50%以上アップしている」と厳しい原料事情を説明する。同社では、主原料である大豆の価格が大幅に上昇する状況が今後も継続すると予測。自社内で様々なコスト削減に努めてきたが、これ以上のコスト削減は困難な状況と判断し、値上げを決めた。4月21日出荷分より、「赤だしみそ750g」、「ミックスみそ750g」など中部主力の豆味噌、あわせ味噌20品と、汎用性調理味噌「かんたんお料理みそ450g」の合計21品を価格改定する。小売参考売価で8・8%~10・0%の値上げとなる。

イチビキは2月17日、為替変動等による大豆価格の高騰を受け、生味噌と調理味噌類の一部製品価格を、4月1日の出荷分より改定すると発表した。対象商品は39品で、改定率は平均約10%の値上げとなる。対象商品は、「だし入り750g」(赤だし・あわせ・こうじ)や「すぐとける500g」(赤だし・あわせ)など、家庭用の生味噌製品30品、調理味噌7品、業務用の生味噌2品としている。

実は、今回の値上げに先駆け、いち早く値上げを行っていたメーカーがある。盛田は13年10月1日から、同社が販売する味噌、たまり醤油全商品で、味噌は平均約10%、たまり醤油は平均約7%引き上げた。同社は味噌において豆味噌・赤だしのみを展開しているため、主原料の大豆価格高騰の影響をもろに受けたことが背景にある。当時値上げを発表したのは同社だけだったこともあり、理解を得られるのに時間がかかったが、現在はおおむね浸透したもよう。

米味噌、豆味噌、麦味噌のどれを主力としているかで、味噌メーカー各社の原料事情は異なる。今のところ、大手メーカーはじめ様子見のところが大半だが、中京発の値上げの動きが波及する可能性はある。