“高付加価値型事業へ転換を”―日本植物油協会・今村隆郎会長

日本植物油協会(日油協)は10月25日、大阪市で10月度会員集会を開き、その後記者懇談会を行い、業界を取り巻く環境と課題を示した。

今村隆郎会長(日清オイリオグループ会長)は世界経済が好調で、日本経済もGDP等の経済指標でみると景気回復が継続しているとしながら、デフレ脱却が全く進んでいない状況を指摘。「輸入原料に大きく依存する業界では、価格転嫁が困難な事態に直面している。高品質の植物油を安定的に提供するには、適正にコストを転嫁できる環境整備を進めることが重要」とした。

また、「日本の平均寿命は世界トップクラスで、日本食が注目されている。日本食に植物油は不可欠な存在である。洗練された日本の消費者の変化を見極めた商品開発が求められている。原料事情に左右されない高付加価値型の事業構造への転換など、産業競争力強化に向けて一層努力したい」と強調した。

消費者庁が検討会で議論を進めている遺伝子組換え表示制度に関しては、「植物油に関しては、製造段階でDNAあるいはタンパク質が除去されている。

9月末の消費者庁の検討委員会で、成分中にDNAを含まない精製された植物油において、これまで通り表示の対象としないことが示されたが、今後も緊張感をもってフォローする必要がある」との考えを示した。最後に、「食用油の健康効果が見直されている。ブームが一過性とならないよう、市場の活性化に向けて業界全体で努力したい」と強調した。

懇親会で、八馬史尚副会長(J‐オイルミルズ社長)が乾杯のあいさつを述べ、「油に対する見方が変わってきている。ブームに終わらず継続させ、健康価値、その他さまざまな価値に見合った価格を形成する努力をしていきたい」と強調した。中締めのあいさつは、清水洋史・不二製油グループ本社社長が行った。

〈食品産業新聞2017年11月2日付より〉