メーカー、商社、流通・生協などで構成される、持続可能なパーム油会議実行委員会は6日、「2020年に向けたパーム油調達のあり方を考える」をテーマに国連大学で定期会合を開いた。

その中で、委員会メンバー・グリーン購入ネットワークの深津学治事務局長は「日本におけるパーム油の持続可能な調達」と題し講演した。グリーン購入ネットワークでは、認証パーム油の利用促進のために、日本国内の枠組み作りを目的に15年7月に『パーム油のグリーン購入研究会』を発足させ、パーム油ワークショップ開催支援などを行っており、20年東京五輪のパーム油WGにも参加していることなどを紹介した。

深津事務局長は、パーム油は生物多様性の保全、温室効果ガスの排気抑制などの環境対策、労働者や地域住民の人権、公正な取引などが課題に挙げられているとした。その上で「パーム油は様々な用途で使用されており、環境・社会に配慮した調達が求められている。調達方針を持つことと、持続可能な調達の実践が重要になる」と述べた。

パーム油調達は90年代から世界的な問題になっており、日本では2000年代に入ってから三菱商事と不二製油が海外現地法人で取り組みを開始し、その後はサプライヤーと海外展開をする化粧品メーカーで取り組みが広がり、その後食品メーカーにも広がっていると紹介した。深津事務局長は「持続可能なパーム油調達は、東京五輪での調達基準の検討も始まっており、企業もそろそろ取り組まなければならないと感じているのではないか」との見解を示した。

〈パーム油の課題分かりにくい、消費者・業界の理解促進には時間必要〉

続いて三井物産油脂食主食事業部の武藤直人・加工品事業室長が司会を務め、「2020年を目指したパーム油調達」と題したパネルディスカッションが行われた。まず武藤室長は「パーム油の持続可能性は環境、社会、経済面から成り立っている、日本でパーム油調達をする我々は、現地で何が起きているかのリスクは分かりにくい。何を変えれば課題が改善するかも分かりにくい」と述べた上で、ディスカッションに参加した各社が現状の取り組みと、今後の課題を述べた。

不二製油グループ本社・リスクマネジメントグループの山田瑤氏は「持続可能なパーム油調達に取り組んでいる。16年に調達方針を発表し、環境面、人権問題のない調達を目指している。そのためにRSPOへの加盟と認証製品を提供している。物流面では20年までに搾油工場までの完全なトレーサビリティーを目指す。ほかにも、小規模農家を支援して持続可能な農業支援を進めている。一方で農園での環境問題や人権問題は改善の必要がある」と話した。

味の素食品統括部の井上公司グループマネジャーは「16年度はグループ全体で3万5,000tのパーム油を使用しており、うち30%を日本で使用している。タイや中南米では認証油が手に入らない地域もある。課題は問題の共有化にある。社内レベルから業界レベルでの共有化などまだまだ時間がかかる。また、社会的、環境的、経済的な取り組みをバランス良く進める必要があり難しい」と述べた。

花王購買部門の田中秀樹統括は「人権尊重ではポイントはサプライチェーン上で人権がいかに尊重されているかになる。調達先ガイドラインでは労働者の移動の自由が守られているか、労働に関する担保の有無などを確認して厳守している」と取り組みを説明した。サラヤ本部購買統括部の吉川慎一部長は「熱帯雨林が伐採されている。ヤシの実洗剤、パーム由来の製品が対象となりRSPOに参加している。最終目的の熱帯雨林の保護を目的に取り組んでいる。売り上げの一部を森の再生に協力なども行っている。11年時点にはパーム油由来の原料は100%認証油を使用したが、今では原料高騰もあり製品を限定して認定油を使用している。課題は、パーム油から分解した脂肪酸やグリセリン、界面活性剤など多岐にわたる原料を使用しており、全て認証油に切り替えるには加工先の協力も必要になる」と述べた。

イオン社会貢献部の椛裕美枝マネジャーは「17年からパーム油に取り組みをスタートさせた。調達方針を合わせて、20年に向けて航路を切った。具体的にはこれからになる」と述べた。

西友企業コミュニケーション部の和間久美恵バイスプレジテントは「パーム油の調達はウォールマートとして取り組んでいる。15年末までにPB品全てで使用するパーム油をRSPO認証品、基準に従った製品に切り替えることを掲げた。西友でも15年に持続可能なパーム油に切り替えることができた。ただ、一社での取り組みは限界がある。消費者を含めて認識を高める必要がある」と指摘した。

日生協組織推進本部の二村睦子本部長は「20年までにコープブランド全てで認証油を使用することを目的にしている。課題は、一企業での調達、生産は難しい。また、パーム油の問題が日本ではあまり知られておらず、RSPOも馴染みがない。認証が安心だと思われがちになっている。消費者の理解促進も必要になる」と述べた。

〈大豆油糧日報2017年11月9日付より〉