〈座長が報告書案に盛り込むことを明言、混入率5%は維持の方向〉
消費者庁のGMO表示検討会が1月31日に都内で開かれ、とりまとめに向けた報告書草案について議論した。

焦点となっていた、現行5%以下に定められている、GMOの意図せざる混入率については、これまで分別流通制度が米国・カナダなどの関係国や業界関係者の努力により、健全に機能してきたことに加え、表示制度の根幹を構成していることから、これを維持することが概ね了承された。

しかし、いわゆる「Non(遺伝子組み換えでない)」表示については、「Non表示・GMOフリー表示をする以上は、GMO『不検出(混入ゼロ)』が潮流であり、最大5%混入していてもNon表示を認めてきたことが、GMO表示のわかりにくさにつながっている」と主張する委員が少なくないことを受けて、湯川剛一郎座長(東京海洋大学術研究院教授)は、2月の検討会で示す報告書案に、Non表示はGMO不検出を条件とする規定を盛り込んで議論する考えを明言した。また、義務表示の対象品目は改めて現状維持(大豆など農産物8品目、加工食品33品目)とすることを確認した。

〈分別流通が崩壊する可能性、中小業者は対応できず、穀物貿易に影響も〉
この日のNon表示と分別流通に関する議論では、武石徹委員(食品産業センター企画調査部部長)は「Non表示は消費者が求めているのであり、『遺伝子組み換えでない』という表現がわかりにくいと言うのであれば、別の表現を検討するべきで、制度までいじるべきではない。ただし、製品に表示できて短い言葉という制約の中で、『遺伝子組み換えでない』に代わる言葉があるのかどうか。さらに(Non表示の条件を)不検出とすると、分別流通制度は崩壊すると思われる。対応できるのは大手企業だけであり、実行可能性から言って中小業者は対応できない。米国からのNon-GMコーンの輸入も不可能になるだろう。それを国産原料でまかなうことはできないし、GMOが検出される可能性も否定できない」と述べ、不検出を条件とすることに反対した。

今村知明委員(奈良県立医科大教授)は「Non表示は不検出とする考え方は理解できるが、分別流通制度が果たしてもつのかどうか、そのリスクを背負えるのか。そもそもGMO表示制度がスタートした時には、不分別表示がもっと多くなると考えていた。しかし予想に反して、分別流通が機能しているのは、Non表示の魅力によるものだ。Non表示が書けないとなれば、分別流通が維持できるのか、そのリスクは否めない」と警鐘を鳴らした。

一方で、立川雅司委員(名古屋大大学院教授)は「混入率は5%かゼロしか選択肢は無いが、フリー表示は厳格化の方向にあり、誤認を与える表現は注意すべき。定性検査ならコストもかからず、(不検出を条件とすれば)より公平な制度となるのではないか」と主張した。

さらに消費者団体出身の複数の委員も不検出をNon表示の条件とすることに賛成した。夏目智子委員(全国地域婦人団体連絡協議会幹事)は「フリー表示は不検出とすべきで、それが流れ。分別流通については、その努力が消費者にわかりやすい表示を考える必要がある」と述べた。

また、江口法生委員(日本スーパーマーケット協会事務局長)は「Non表示が多いのは、消費者が要求するから。そのため事業者はデフレの中でコストをかけて、努力している。分別流通制度は守る必要があり、5%は維持するべき」と述べた。

こうした議論を受けて湯川座長は会議の最後に、「現状を維持するのか、Non表示をどういう位置づけにするのか、そこに絞って収束させていきたい。今日の議論では、Non表示は正しい意味、不検出とすべきと主張する委員が多かったように思われ、(次回検討会で示す)報告書案はそういう方向でまとめたい」との考えを示した。

〈大豆油糧日報 2018年2月1日付より〉