2018年はまだ3カ月以上残しているが、記録的な厳冬・猛暑であったことも含めて「自然災害の多かった一年」として日本人の記憶に残ることは、ほぼ確実だろう。被災された方々にはお見舞いを申し上げますと共に、一日も早い復旧・復興を祈念申し上げます。それにしても、今年の災害の爪あとは深い。被災地では広範囲における停電、断水などのインフラ被害、土砂崩れや河川氾濫による鉄道・幹線道路の長期不通が相次ぎ、そうした深刻な被害は食品や日用品など生活必需品の供給不安に直結している。

9月は元来「防災月間」として、個人や世帯や地域、企業などで非常時に取るべき行動の検討、防災品・備蓄品のチェックなど、災害に備えて取り組む時期に当たる。とは言え、寺田寅彦博士の警句として伝わる、「天災は忘れた頃にやってくる」ではないが、いつ起こるか予想できない災害への備えを長期間にわたり続けることは、なかなか難しいことと言わざるを得ない。しかし、今年を教訓とするならば、「すぐ、そこにある天災」と意識するくらいで丁度よいかも知れない。改めて防災への備えを確認しておきたい。

〈災害発生から食料調達に3日以上要するケースも、家庭で1週間分の食料備蓄を〉
食品産業界の防災対策としては、各企業としてのBCP(事業継続計画)を進めると共に、家庭を中心とした食品備蓄への意識喚起などにも取り組みたい。

農水省では11年の東日本大震災のケースとして、満足な食料調達に災害発生後から3日以上要した地域のあったことや、電気の復旧に1週間以上、水道復旧に10日以上の時間を要した地域もあったことを踏まえ、手引書では各家庭で最低でも3日分、出来れば1週間分の食料品備蓄が望ましいとしている。

さらに手引書では食品備蓄の基本的な考え方として、飲料水プラス調理用水として1人1日3L、一週間分なら21L(生活用水は別途必要)、主食として米を備蓄するならば2kgで1人約9日分といった目安を示すと共に、ライフライン途絶に備えた煮炊き用のカセットコンロ・ボンベの備えを推奨している。

主菜としては、たん白質を重視する観点から、肉・魚・豆類の缶詰や充てん豆腐、ロングライフ牛乳、かつお節や凍り豆腐などの乾物、レトルト食品などを組み合わせて、3日分(9食)・あるいは1週間分(21食)の確保が必要としている。合わせて、みそ(即席みそ汁)・しょうゆ、食用油などの調味料や、日持ちのする野菜・果物(乾物、缶詰、漬物類)に加え、好みの菓子類や飲料を備えておけばストレス緩和に役立つとしている。

〈ローリングストックの啓発進む、日常消費している食品を多めに購入・備蓄へ〉
他方で、取り組みやすい食品備蓄の方策として、日常消費している食品を常に多めに購入することで、自然と家庭備蓄を保つ、ローリングストックと呼ばれる考え方の啓発が近年進められている。

例えばイオンでは、PBトップバリュを活用したローリングストックの店頭展開を順次強化している。豊富な品ぞろえ、値頃感、食べなれた味といったPB商品の特徴を訴求しながら、温めずに食べられるレトルトかゆ、自然解凍で食べられる冷凍食品といった非常時に適した商品や、食品アレルギーの特定原材料7品目を使用していない商品、容易にかめるシニア商品を中心に紹介している。マックスバリュ東海の132店舗では6月から、ローリングストック推奨商品にPOPで分かりやすく示す取り組みを行っている。

本紙関連では、神州一味噌が防災食として、5年保存が可能な即席みそ汁・スープを販売しているほか、アサヒグループ食品のアマノフーズブランドから、「ローリングストックBOX」として、パックごはんと同梱したフリーズドライの丼の素やシチューなどをバラエティ豊かな品ぞろえで販売している。こういった商品を楽しみながら利用するのも良いかもしれない。

〈大豆油糧日報 2018年9月13日付より〉