J-オイルミルズ中間決算は増収増益、搾油採算改善と油価改定水準の維持が寄与/19年3月期第2四半期

J-オイルミルズは16日、現中期経営計画(17~20年度)の取り組み状況と19年3月期第2四半期決算の概要に関する記者説明会を都内で開いた。その中で、八馬史尚社長は第2四半期決算では、ミール高による搾油採算の改善と食用油の価格改定水準の維持が寄与したと述べたほか、重点テーマとして、オリーブ油や業務用機能性油など高付加価値品の拡販を進めることなどを示すと共に、中食市場を中心とするソリューション事業の取り組みでは、機能性油とスターチを組み合わせた経時劣化対応と風味の向上提案で成果が挙がっていることを紹介した。

〈中食で成功事例増える、ニーズに合ったソリューションをデザイン/八馬社長〉
八馬社長は始めに、売上高で前期比1.1%増の933億4,000万円、経常利益で73.7%増の34億3,800万円と、増収増益を達成した第2四半期決算について、良好なミール相場環境を受けた搾油採算の改善と、昨年来取り組んできた食用油価格の改定効果を維持できたことが主たる要因と評価した。当期純利益への影響として、旧神戸・住吉工場の資産譲渡に伴う特別利益として4億4,000万円、台風21号の影響被害として特別損失1億2,000万円をそれぞれ計上したことを付け加えた。

一方で、高付加価値品の進捗の遅れや、価格改定を実施したものの、原料コストの上昇を十分吸収できなかったことによる、油脂加工品事業の採算悪化を課題として挙げた。関連して、今年度上期の高付加価値品については、オリーブ油と業務用製品「長調得徳」の売上は前年を上回ったが、全体の売上高構成比は23.7%となり、目標に届かなかったと述べた上で、通期は売上構成比25.0%を目標に取り組んでいるとした。

ソリューション事業の取り組みでは、中食総菜など「BtoBtoC事業」での提案強化の成果として、吸水・吸油力の高いでん粉「ネオトラスト」を生かした、柔らかくジューシーさを実現したハンバーグ、保水効果の高いスターチ「ハイトラスト」と、コク味を向上させる「美味得徳」を活用したから揚げといった成功事例を紹介した。その上で、「高齢化や女性の社会進出に伴って、中食市場は成長しているが、それと共に食感・風味・香りの面での経時劣化が技術的課題となっており、その中で当社商品が採用される事例が増えてきている。さらに拠点となる『おいしさデザイン工房』を7月にオープンした。ここでお客様のニーズに合ったソリューションをしっかりデザインしながら、それを(生かした商品を)一般市場に向けて販売していくビジネスを考えている。当社が有する素材だけではなく、お客様との連携を通じて新たな価値創造につなげていきたい」との考えを示した。下期の重点テーマについては、オリーブ油、「長調得徳」、プレミアム業務用マーガリン、スターチといった高付加価値品の拡販に弾みをつけていく考えを示すと共に、物流効率化の推進、中長期視点での生産拠点の最適化、各部門での商品数の見直しに取り組む考えを示した。

また中期経営計画中の設備投資は4年間で440億円を計画、充てん・包装設備の効率化や老朽化更新などを進める考えを示した。

〈大豆油糧日報 2018年11月20日付より〉