農研機構は今回の評価研究の意義について、今後も主要穀物の生産量を継続的に増やしていくためには、温暖化の適用技術の開発・普及が重要で、中でも人口増加が著しい開発途上国の多くは、熱帯・低緯度地域に位置し、温暖化の悪影響は大きいと予測され、適用技術の普及は急務となっているとの認識を示している。

その上で、農研機構は共同研究機関と共に、温暖化影響の検出・評価専用に設計された気候データベースを用いて、温暖化が主要穀物の過去30年間の平均単収に与えた影響を、肥料や品種改良、灌漑といった増収技術や、簡易な温暖化適応技術の導入を考慮して試算し、世界全体で推定した。

その結果、主要穀物は温暖化の影響により平均単収の低下がみられ、大豆は4,5%、トウモロコシは4.1%、小麦は1.8%、それぞれ減少したと推定している。なお米は、値のばらつきが大きく、有意な影響はみられなかったとしている。

さらに単収への影響推定を、00年頃の世界の収穫面積分布と、国別の生産者価格(05~09年の平均値)を乗じて被害額に換算した結果、大豆は65億ドル、トウモロコシは223億ドル、小麦は136億ドルとなり、合計で年間424億ドルに達するとの見積もりを示している。これは年ごとの被害額に変動はあるものの、毎年424億ドルに相当する生産量が温暖化によって失われていることを意味しているとの見方を示している。

また、地域別の影響をみると、4種類の穀物はいずれも高緯度地域で収量が増加している一方で、低緯度地域で収量が低下していることが分かったとしている。

農研機構では今回の影響評価による成果を基に、主要穀物の国別の被害額の推定値が得られれば、開発途上国が必要な適応策の開発資金を募集する際の基礎データとして利用できるほか、先進国や国際機関にとっては、資金支援の妥当性を評価する際に役立つとしている。

〈大豆油糧日報 2018年12月26日付より〉