賞味期限の年月表示化、食品ロス削減や作業効率向上に期待/農水省セミナー

大豆油糧日報 2019年4月18日付
農林水産省は4月16日、賞味期限の年月表示化に関するセミナーを開き、年月表示に取り組む事業者の事例報告を通じて、年月表示のメリットや、社内体制、留意点が紹介された。

始めに、食料産業局バイオマス循環資源課食品産業環境対策室の野島昌浩室長が、賞味期限表示をめぐる状況について、国の基準では、賞味期限が3カ月を超える商品は、基本は年月までの記載だが、日付も記載できることとなっており、しょうゆ、菓子、レトルト食品などでは年月表示が広がっているものの、全体的には一部に限られていると話した。

野島室長は年月表示のメリットについて、「運転手不足が問題となる中、現場では30分以上の荷待ち時間が生じるケースがある。また、食品ロスの問題においては、日付け表示では、商品を拠点間で移動させたくても、前回の納入分よりも賞味期限が1日でも古いと受け入れてもらえないため、ロスリスクが発生する。年月表示であれば、荷物の入出庫が効率的になり、さらに拠点間の在庫の移動も柔軟にできる」と述べ、年月表示化の必要性を強調した。

事例説明では、味の素食品事業本部家庭用事業部の三谷仁孝次長が、導入経緯などについて話した。同社は11年に「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキンググループ」に参加し、17年2月には、家庭用商品で年月表示化の取り組みを開始し、「クノールカップスープ」や「ほんだし」など、182品目で年月表示化を完了させたと報告した。

取り組みにあたっては、賞味期限が1年以上であること、現行の賞味期限から、さらに1カ月以上延長できる出来る商品を対象にしたとし、その理由として、「例えば4月16日が賞味期限だと、年月表示では3月になり、逆に本来の賞味期限よりも短くなってしまう」からだと説明した。

消費者の反応についても紹介し、今日までの問い合わせは53件と、同社に寄せられる全体の件数の1%に満たないとし、内容としては、切り替え時における、店頭と家庭での表示の混在などについてで、クレームではないとした。

〈大豆油糧日報 2019年4月18日付〉