全国油脂販売業者連合会は7月24日、東京都中央区の中央区総合スポーツセンターで、第4回「油脂未来セミナー~油の花から実へ~」を開催した。エゴマ油やアマニ油、ココナッツ油、MCT(中鎖脂肪酸油)など、健康オイルの特徴、機能、効用などを学んだ上で、テイスティングを交えて理解を深めるという趣旨。講師は太田油脂の開発マーケティング本部マーケティンググループの管理栄養士、尾崎澄香氏が務め、「オイルと健康について」と題して講演を行った。

尾崎氏によると、生活習慣病が増えている背景として、食の欧米化で栄養素摂取量のバランスが崩れていることを指摘。中でも炭水化物が下がって、乳製品や脂質が上がっており、昔と比べて現在の日本人は、食事で摂る油の量が増えているとした。アンケートでも食事で摂る油に気を付けている人は顕著に多く、健康のために油にこだわって選ぶ人が増えているという。

まず、食用油の種類には、「脂」と「油」があると説明。脂は常温で個体、主に動物性でバターや牛脂、豚脂などが当てはまるが、例外としてココナッツ油やMCTも含まれる。一方、油は常温で液体、主に植物性で種子や胚芽、果実から採った油だが、魚油のような例外もある。

その上で、油脂の5つの働きを紹介した。1つ目は細胞膜を作る働き。成人1人当たり37兆個もの細胞でできているが、良質な油を摂ると細胞膜が柔らかくなり、栄養を取り込みやすくなるという。2つ目は、脳・神経の働きを保つ働き。脳の約65%は油でできており、いい油を摂ることで脳内伝達機能が保たれている。3つ目が血液をつくる働き、4つ目が体温を維持する働き、5つ目が肌、髪の潤いを守る働き。このように、脳や身体を作ることにつながることから、「食べている油の質が重要」と強調した。

〈必須脂肪酸の供給源に、オメガ3オイルは小さじ1杯でマアジ3匹分に相当〉
さらに油は、オメガ6(リノール酸)やオメガ3(α-リノレン酸)など必須脂肪酸の供給源でもある。これらは体内で作ることができないため、食事で摂らないと不足してしまう。

油の分類として、脂は飽和脂肪酸が主で、油は不飽和脂肪酸が中心となる。不飽和脂肪酸は、人間の体内で作られる一価と、作ることができない多価に分類され、多価はさらにオメガ6とオメガ3に分けられる。理想的なバランスは飽和脂肪酸3、一価不飽和脂肪酸4、多価不飽和脂肪酸3の割合で、「さまざまオイルをバランスよく摂ることが大事」と推奨した。

現代の食生活ではオメガ6に関しては十分に摂取できている一方、オメガ3は摂取不足で、意識的に摂ることが大事だという。オメガ3の摂取目安量は1.6~2.4g。これはマアジ3匹分に相当する量だが、オメガ3含有油だと小さじ1杯分と手軽に摂取することが可能だ。

健康オイルの違いだが、1つは脂肪酸の鎖の長さの違いによる。MCTやココナッツ油のような中鎖脂肪酸は分解されやすく、エネルギーとして活用されやすい。中鎖脂肪酸100%のMCTは新しい油の印象があるが、50年以上も前から手術後や吸収機能性障害の患者のエネルギー源として利用されてきたという。ココナッツ油も中鎖脂肪酸が60%と高く、風味が特徴で加熱調理にも使えるとした。

もう一つの違いは、オメガ3、6、9の違いだ。エゴマ油やアマニ油は、オメガ3をそれぞれ約60%、約50%含有。エゴマとアマニは、搾りたてだとエグみや渋みなどのクセがあるが、テイスティングで用意された太田油脂の両商品は「無理なく毎日続けられるように無味無臭で仕上げている」とアピール。オリーブ油はオメガ9を約70%含有しており、加熱調理に使用可能で、血中コレステロール値のコントロール、消化吸収のサポートが期待できるとした。

尾崎氏は、「どの油が一番ヘルシーかについて質問されるが、全ての油は1g9kcalなので、どれがいいというのはない。健康に役立つ個性は分かれるので、脂肪酸の構成に注目して選んでもらいたい」と述べた。

〈大豆油糧日報 2019年7月29日付〉