鈴与工業(東京都板橋区)は、後発となる豆腐業界においても、北海道から九州まで全国の豆腐メーカーに採用実績がある。また、鈴木英之社長は、「エンジニアリングを得意としており、食品工場の中ではジャンルに関係なく通用する。依頼があれば対応している」と、幅広い業界を対象にした事業展開を視野に入れている。

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豆腐の設備に関しては、豆乳を製造する蒸煮釜の販売と、工場全体のエンジニアリングを手掛けることが可能だ。豆腐関連の設備は今では、納豆と同規模の売上となっている。また、納豆と同様、機械だけでなく、容器やフィルムの提供、作り方の指導まで行い、競合他社との差別化を図っている。鈴木社長は「納豆も豆腐もハード面のみならず、ソフト面も指導するというアプローチは同じ」と説明する。

豆腐の設備において、同社は2つの強みがある。まずは、競合と比べて蒸煮釜に優位性があることだ。全国豆腐品評会で上位を取ることができる仕組みとして、同社の蒸煮釜に注目が集まっているという。鈴木大輔副社長は、「コンテストで賞を取りたいので、当社の蒸煮釜を採用するケースが増えている」と述べる。

次に、「濃くて甘い豆腐を作る限定吸水製法」と、大豆の浸漬が不要な「無浸漬の仕組み」という、2つの製造手法に関する特許技術を取得していることだ。

また、豆腐製造のトータル設備はもちろんのこと、豆乳、厚揚げ、油揚げ、おからなど、さまざま豆腐加工品を、連続して製造できるラインアップを有しており、将来に向けた設備の拡張まで提案することも可能だ。

コンビニエンスストアでは冬場にはおでんが売れ、厚揚げが売上の上位に入ってくるが、あるチェーンでは、濃くて甘い豆腐を使った厚揚げをウリにしているという。鈴木副社長は、「そういった場合に当社の技術が最大限活用できる」とアピールする。

〈生産管理をサポートし、中堅企業でも導入可能な自動化・省力化の設備を開発〉
ほかの食品分野でもエンジニアリングや単独機械の納入を行っている。特に、納豆の発酵技術で必要な温度や湿度、酸素量を管理する仕組みを転用したいという引き合いが多いという。

鈴木副社長は、「当社は、きめ細かな管理ができる点が評価されている。最近は、はちみつや野菜ジュース、パン工場など、幅広く手掛けている。エンジニアリングできる能力と、その時々の最適な機械を組み合わせた形で最善の仕組みができることが当社の強み」と強調する。

この5年間、売上高は毎年2ケタ増で伸びており、今期(8月期)も2ケタ増で着地を見込んでいる。好調な要因について鈴木副社長は、「最近は特に地方での雇用が難しい。ワークライフバランスの指標もあり、いかに機械で省人化するかという傾向が高まっている。加えて、原料からなるべく多く製造でき、廃棄などで無駄にしたくないというニーズがある。当社の仕組みを導入することで歩留りが解消され、投資対効果が得られやすいことから、新規導入につながっている」と分析する。

また、工場の規模は広げられないが、さらに生産性を増やしたいというニーズに対応することも可能だ。たとえば、納豆は発酵室の規模がそのまま生産のキャパシティーになるが、同社は通常よりも2~3倍増やせる仕組みを持っているという。

システム会社出身の鈴木副社長は、「生産管理というシステム的な部分でも食品企業をサポートしていきたい。機械を導入することで製造の手間は省けるが、さらに工場の運営をサポートする仕組みも提供できると考えている。それに伴い設備のIoT化も進めていく。単独の機械メーカーではなく、当社のようなトータルエンジニアリングができるところがIoTを手掛けることに意義がある」と強調する。

また、ロボットを含めた更なる自動化にも取り組んでいくとしている。「食品の安全安心は今後さらに求められるので、それを担保できる仕組みをつくりたい。省力化や自動化は大きな会社が導入する仕組みだったが、中堅のお客にも導入できる安価で簡素な機械を次々と開発していく。そのための人員増強も行っている」と今後の展望を語る。

〈大豆油糧日報 2019年8月28日付〉