伊藤忠食品、ベジミート試食説明会を開催、「5~10年先当たり前のように食卓に並ぶ」

伊藤忠食品商品本部本部長代行兼MD統括部部長・樋上佳秀
伊藤忠食品は1月14日、東京本社でベジミート(植物肉)試食説明会を開催した。同社のMD統括部地域産品・ヘルス&ビューティ(H&B)MDチームは、ベジミートを含め、植物由来の食品を中心とした食事法「プラントベースフード」に注目しており、今後のMD・提案活動のメインテーマの一つとして注力していく考えだ。

はじめに樋上佳秀・商品本部本部長代行兼MD統括部部長が、「MD統括部は、ワイン、地域産品商品、H&Bの3つに特化した部隊だ。元々は個々で提案していたが、今後さらに伸長が見込め、環境変化に伴って注力が必要なカテゴリーと考え、4年前に発足した」と説明した。

ベジミートについては、「まだまだニッチな位置付けだが、過去には冷凍食品もそうだったように、5~10年先に当たり前のように食卓に並ぶカテゴリーであると認識している。『日経トレンディ』の2020年の売れ筋15位となった。昨年あたりからSDGsが話題になるといった環境の変化もあるが、個人的には食品の中で売れると思っているのは、『ケロッグコーンフレーク』だと思う。M‐1グランプリでミルクボーイが『コーンフレーク』のネタで優勝を勝ち取った。それにより前年比200%と好調だ。実際に虎の絵が描かれているのは『コーンフロスティ』だが、200%伸びているのは『コーンフレーク』である。何が言いたいかというと、消費者は分かっているようで分かっていない。いつどういうきっかけで売れるかも分からない。全体的な環境変化を踏まえて考えていった場合、ベジミートは絶対に必要になると認識している」と述べた。

〈ベジミートを肉の新しい選択肢として紹介、さまざまなターゲットに可能性〉
商品本部MD統括部地域産品・H&BMDチームの長田恵里奈主任は、「世界的にベジミートに注目が集まっている。今年はオリンピックイヤーで、日本国内でも認知が高まっていくと考えられる。今回は、プラントベースフードの中からベジミートにフォーカスして提案を行う」と趣旨を説明した。

続いて、営業企画本部営業企画部リテールサポート第一チームの衛藤雄介主任は、プラントベース食に注目が集まっている背景について、「健康意識の高まり、将来の食糧危機の回避、地球環境の保護の3つの要因がある。ベジタリアンや動物愛護の考えを持つ人だけが対象ではない。畜産は環境負荷が大きく、肉の選択肢の中で、牛肉、豚肉、鶏肉に続いて、ベジミートを新しい選択肢として紹介したい」と述べた。

ほかに伸びている要因として、「ベジミートはメーカーの努力で味のクオリティが上がっている。また、これまでは大豆一択だったが、小麦やキノコなど、新しくベジミートの材料に使われるようになってきた。原料が異なると、食感や香りが変わり、さまざま肉料理にベジミートが登場する機会が増えると、より市場が広がっていく」と見通しを述べ、動物性の肉に比べ、低カロリーで低糖質、高たん白で、食物繊維も含まれていることも強調した。

販売戦略についての説明の中で、「ベジタリアンや健康意識の高い人向けだけではなく、少し糖質を減らしたい人、環境が心配な人、シニア世代、子供に植物性たん白を摂らせたい人など、さまざまなターゲットに可能性がある」と期待を寄せた。

ベジミートを導入している関西の2つの店舗事例も紹介し、そのうち、フェイクミートと紹介している売場は同社が導入をサポートしたといい、「バイヤーからは、『これから育てていくべき売場になるだろう』というコメントをもらっている」と強調した。

試食で用意された商品のうち、日仏貿易のオーガニック植物性ハンバーグ「カルロタ」の原料は小麦で、繊維感があり肉の食感に近いのが特徴で常温保存が可能だ。2つ入りで上代は900円。三育フーズの大豆を主原料としたソーセージ「リンケッツ」(375円)と、ツナ「ベジツナ」(320円)も紹介した。

画像:ベジミート(植物肉)試食説明会の様子

〈大豆油糧日報2020年1月16日付〉