次期中計に向け徹底的な筋肉質化、SKUの削減に取り組む/Jオイルミルズ決算会見

J-オイルミルズ八馬社長
J-オイルミルズは5月20日、都内で決算会見を開き、八馬史尚社長が20年度見通しと最終年度となる中期経営計画について説明した。20年度の重点施策として、需要が拡大している家庭用商品の収益力拡大とともに、コスト競争力の強化と筋肉質化を目指す中で、SKUの大幅な削減に取り組むことを明かした。

八馬社長は、「トップラインが伸びにくい環境を前提とすると、次の中計に向けた徹底的な筋肉質化の一年にしたい。その上で、SKUの削減は油脂で20%、油脂加工品で30%、スターチで40%と目標を掲げ、原料調達、生産、開発、販売に至るまで取り組み、事業全体のスリム化を行っていく。21年以降の中計には、よりスリムな形で臨みたい」と語った。

削減するSKUについてはリストアップしている最中だという。売上構成比の低い商品や、ラベルは異なるが中身は同じといった統合可能な商品など、さまざまなパターンがあるとし、それらを整理する考え。

八馬社長は、「20年度の環境下では売上の成長は期待できない。コストをどこまで下げられるか、これまでの常識のリミッターを外し、徹底的に効率化できる年にする。従来から問題意識を持っていたが、このようなチャレンジをするのはこのタイミングになる」と述べた。

中計に関して、成長戦略の「高付加価値品の拡大」については、「19年度の売上高は微増ながら粗利益は2ケタ増となった。粗利益率は28.7%と、ここ数年で大幅に向上した」と手ごたえを語った。オリーブ油や「長調得徳」、「J-OILPRO」の裾野が広がり、中食・外食のソリューションでは、品質・食感改良剤としてスターチの取り組みを進め、採用事例は前年度比で2倍増えたとした。

また、アジアでの展開として、「タイでスターチ事業を展開していたが、マレーシアでもマーガリン、ショートニング事業をスタートした。アセアンエリアで高品質のパンづくりに貢献する提案を行いたい」と展望を語った。

〈コロナ影響前提で減収増益予測、油脂は販売量減を製造コストなど削減でイーブンに〉
20年度について、売上高は10.2%減、営業利益は5.1%増と、新型コロナウイルスの影響の前提を定めた上で、減収増益を予測する。

家庭内で調理される機会が増えこともあり、食用油は3〜4月までベーシックからプレミアム系まですべての出荷増が続いているという。中でも、ごま油、オリーブ油などプレミアム系の伸び率が高いとしている。

油脂事業の家庭用の需要は4〜5月が10〜20%増、6月からは5〜10%増にスローダウンし、その状態が上期を通して続き、下期は0〜5%増を予測する。一方、業務用は4〜5月で、外食向けが40〜50%減、加工用が横ばいから微減を予測する。「外食向けは6〜9月と改善してくると想定しているが、10〜3月はいまの状態以上の影響がないことを前提にしても、20〜30%減の影響は残るだろう」と見通す。

営業利益については、「油脂は若干のマイナスだが、イーブンまで持っていきたい」と語った。油脂事業のうち、油脂コストは、原材料コストとミール販売のトータルで8.6億円のマイナスを想定する。「販売単価は若干(6.3億円)の上昇はあるが、販売量の減少は30.5億円を想定している。製品構成は家庭用中心に若干(5.8億円)改善してくることに加え、製造コスト(9.4億円)や物流費(8.8億円)、一般経費(8.2億円)も削減を図って前年並みを確保したい」とした。

油脂加工品は、原価償却の減少や、原料高騰についても代替を進めており、構造改革を徹底していくことでプラスに持っていくとした。

〈大豆油糧日報2020年5月22日〉

20年度セグメント業績予想

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