〈農園などが抱える環境、人権問題の解決に取り組む〉
不二製油グループ本社は7月20日、ステークホルダーを対象に、「パーム・カカオ調達方針説明会~持続可能な生産・消費の推進に向けて~」と題し、オンライン説明会を開催した。ESG経営を推進している同社は、児童労働撲滅、森林破壊防止に向け、2030年を目標としたサステナブル調達コミットメントを策定し、6月4日に公表した。説明会では、事業の主原料であるカカオとパームに関するサステナブル調達方針などを具体的に説明し、農園などが抱える社会課題解決への強い姿勢を示した。

はじめに、門田隆司取締役上席執行役員C“ESG”Oは「ESG経営と当社グループ調達方針」について説明した。「C“ESG”Oは、グループのESG経営を統括する役職だ。グループ憲法に定めた従業員共有の価値観のうち、最も特徴的なのが『人のために働く』ということ。この価値観からSDGsに共感し、持続的な社会の発展のため、社会の一員として、事業の中で社会課題に取り組み、企業価値向上を目指している。当社は食品会社であり、植物性食品素材を通じて社会課題を解決する方法をとっており、これをPBFSと呼んでいる。主原料であるパーム、カカオなどの農作物は農園などでの環境、人権問題が社会的に懸念されている。製品供給の責務を果たすためにも、持続可能な方法で生産された、高品質で安全な原材料の安定的な調達が重要」と強調した。

〈パームの最終目標は森林破壊ゼロ・泥炭地開発ゼロ・人権搾取ゼロ〉
続いて、科野裕史執行役員油脂・チョコレート事業部門長は「パーム/カカオのサステナブル調達コミットメント」について説明した。

最終目標は、パームはNDPE(森林破壊ゼロ・泥炭地開発ゼロ・人権搾取ゼロ)、カカオは児童労働撤廃、森林再生を掲げている。これらの達成に向けて、中長期的な目標とそれを実現するための手法などを説明した。パームについては、衛星写真によるモニタリング、労働環境改善プログラム、認証油の推進といった手法を紹介した。

カカオについては、サステナブル感度が高い米ブラマー社がグループ入りしたことで取り組みが加速した。ブラマー社が児童労働問題の解決に向けてコートジボワールで取り組んできたサステナブルプログラムの内容と実績を紹介した。このプログラムは、児童労働のほか、教育、健康、女性の地位向上、森林再生などを包括。エクアドルでも既に展開しており、新たにガーナにも拡大する。

環境保全NGOのWWFジャパンの南明紀子氏、児童労働の撤廃と予防に取り組むNGOのACEの白木朋子事務局長との意見交換も行い、白木氏からは「世界のチョコレート産業をリードする不二製油がコミットメントを出したことは意義がある」と歓迎しながら、「消費と生産はつながっている。取引先、消費者をどう巻き込むか」と課題が指摘された。門田氏は、「調達をクリーンにするだけでなく、消費者の問題意識、認知度を上げていくことが重要。NGOの力もお借りしたい」とした。

質疑応答では、RSPO認証油についての目標を問われ、「比率を大きくしたいが、消費者がどれだけ価値を認めてくれるかにかかっている。プレミアムが付いて値段を上げて販売することに対し、(理解が)十分でない地域がある。認証油でなくてもサステナブルなものを提供したいと考え、活動を進めている」(門田氏)とした。

なお、同社グループのRSPO認証油の購入比率は年々高まり、2019年実績では24%だった。ヨーロッパ、アメリカで需要が高まっているという。日本などアジアでの認知度は低いが、今後の増加を見込んでいる。

〈大豆油糧日報2020年7月27日付〉