三和豆水庵(茨城県古河市)は、豆腐市場で高い認知度を誇る「波乗りジョニー」シリーズを有するほか、近年は、高級食材として気軽に購入しにくいイメージがあった湯葉を、食卓の身近な存在にすることに貢献している。2020年5月、同社の新社長に、國津義治氏が就任した。

金融業から豆腐業界に転身した國津社長は、今後の事業戦略について、豆腐作りの原点に立ち返って消費者ニーズを探るべく、新たな取り組みの1つとして工場直売所「豆水庵」を10月2日オープンした。「私はこの業界で新参者なので、スタート地点に戻り、原価や賞味期限といった制限を一旦取り払い、誰が食べてもおいしいと思ってもらえる豆腐を直売所では販売していく。そこで消費者に評価されたポイントを生かしながら量産化につなげていく。奇をてらったものではなく、外観は他の豆腐製品と変わらなくても、食べると全く違う商品を目指したい」という。

これに伴い、社内では「エジソンプロジェクト」を始動させた。その名の通り、新しいものを生み出そうという試みだ。「事務職の女性社員などさまざまな職種の社員を巻き込み、主婦や若者目線に立った商品開発も推し進めていく」という。

〈主力ブランド「波乗りジョニー」のリブランディング図る〉
また、同社の主力商品には、サーフボードを模した形状のパッケージと、2020年8月にはバナナ味を発売するなど豊富なフレーバー展開でも有名な「波乗りジョニー」シリーズがある。國津社長は、「ロングセラーの理由は、単にネーミングや形状ではない。独自の製造工程による、なめらかな食感と甘さといったおいしさが評価されている」と、ロングセラーの要因を紐解いている。その上で、「もう一度、“波乗りジョニー”の個性と独自の製造工程を生かし、更においしさを引き出すリブランディングを図っていく」との考えを示す。

さらに同社は近年、「丹精お刺身湯葉」で、日経POSセレクション・湯葉部門で2年連続売上1位を獲得するなど、湯葉製品の売上を伸ばしてきたが、「こんなにも多くの方に購入頂いているが、未だに第2弾を上市できていない。今こそ湯葉の新製品を投入すべきで、開発を進めているところだ」と、新たなチャレンジに意欲を見せる。

また、コロナ禍で新たな生活様式が求められている中で、豆腐をさまざまなメニューに派生させる提案が重要だとし、「外食控えなど、外での体験が減っている。家でひと手間加え、自分流に仕上げる動きが出てくるのではないか。例えば塩豆腐をミキサーでディップ状にしてパンに塗るなど、冷奴だけでなく、豆腐をさまざまなシーンで消費者に食べてもらう提案が必要だろう」と話す。

さらに今後、消費者の購買行動が変化する可能性も見据え、商品の認知度を向上させる重要性を指摘する。「米国では、オンラインで購入した商品を店舗で受け取れるサービス“BOPIS(Buy Online Pick-up In Storeの略)”が広がりつつある。日本が米国と同じようになるとは限らないが、従来の店頭での商品選択から、ネットで豆腐を選ぶ動きが出てくれば、消費者に認知されている商品をいかに持ち得るかがメーカーの課題になるのではないか」との見方を示す。

最後に、「消費者においしい豆腐だと評価してもらい、豆腐業界では中堅の当社だが、注目してもらえる会社に短期間で仕立て上げることが使命だ」と、社長就任の抱負を語った。

〈三和豆水庵・國津義治社長プロフィール〉
くにつ・よしはる、1961年生まれ、1985年早稲田大学教育学部卒。日本リースを経て、1999年より米ゼネラルエレクトリック社の金融部門GE Capitalの日本法人でリース事業部門を歴任。2012年より日本GE(株)専務執行役員。2020年5月に三和豆水庵の代表取締役に就任。

〈大豆油糧日報2020年10月5日付〉