不二製油グループ本社「コロナの影響は下期23億円減を想定、大豆たん白を拡販」/2020年度第2四半期決算説明会

不二製油グループ本社・清水洋史社長CEO
不二製油グループ本社は11月10日、都内で2020年度第2四半期決算説明会を開催、清水洋史社長CEOらが出席し、上期概況と下期計画を説明した。上期は減収減益となった。新型コロナの営業利益への影響は、上期がほぼ計画通りの39億円減、下期は23億円減を想定している。

清水社長は、「今年度末までコロナの影響が続くと考慮し、営業利益は193億円から165億円、当期純利益は115億円から100億円に下方修正した」と説明した。

下期の見通しについて、国内は外食・観光産業の不振で売上減少が継続しており、売上高は回復基調だが、昨年度は第4四半期に巣ごもり需要があったことがマイナス要因になるとした。また、「健康栄養への関心の高まりから、プロテインブームや大豆たん白製品の需要が伸びている。上期から新工場が稼働しており、トレンドをうまく捉えて拡販につなげていく」とした。

海外は、欧米の感染者の増加に歯止めがかからず、ロックダウンも出てきており、厳しい状況が続くとした。「その中でも、ブラジルでは油脂技術を使ったチョコレートフィリングが伸びており、中長期的な拡大に向けた第2工場も考えている。欧州では中小向けのチョコレートが実績を伸ばしている。米国もブラマー社のシュガーフリーの機能性チョコが売上を伸ばしている」と述べた。

また、「チョコ油脂とチョコに特化してきたが、この動きは考えている以上に難しかった。その状況でコロナ禍となったが、手は打っており、間違いなく回復していくと考えている。数年前からESG経営に取り組むと宣言している。具体的な利益として、プラントベースフード(PBF)のソリューション(PBFS)をしっかりと利益にしていくことを考えている」と述べた。

〈ブラマー・ハラルド社は優先的に設備投資、次期は単年度決算で中計は次々年度から〉
清水社長はチョコ事業について、「海外は日本の延長線上のチョコ事業とは異なる。生産性や人の問題が大きいことが分かり、どのように直せばいいかも分かった」と強調した。

丸橋康浩上席執行役員CSOは生産効率を高める取り組みについて、「効率・効果は上がっているが、今年度は販売数量、生産数量が減少した。装置産業のため利益単価も落ち、相殺されて見えにくいが、販売数量が増加に転じると、大きな効果が表れる。ブラマー社とハラルド社は優先的に設備投資を続けていき、来年以降成果が出てくる」と述べた。

また、次期中計について清水社長は、「この1年は次期中計をつくるにはまずい最終年度だった。次期は単年度の予算にして、その次に次期中計を作らなければ理屈が合わない。チョコで利益が出てくるのは1年かかる。その結果をみてPBFSに移していく。次々年度から中計をつくるという考えを持っている」と述べた。

取締役の大森達司不二製油社長は日本の状況について、「PBFは、大豆ミートの新工場を稼働している。足元の数字は伸びていないが、原因としては、ユーザーの新製品の計画がズレ気味になっている。PBFの中身はミートレスハンバーグなど大豆ミートが賑わしているが、当社の原料のボリュームゾーンの3%の数字しかない。一方、シリアルやバー状の菓子の伸びは非常に高く、大豆たん白の粉末ドリンクも非常に伸びている。来期に向けて高齢化に対する健康面、たん白補給の適度な運動に加え、免疫力強化という側面も機能に合わせて来期の予算を作っていく。肉代替のほかに、植物性のチーズや、豆乳ベースのバター代替も発売しており、評価を得ている。マーガリンは利益率が低い事業だが、大きく収益性を改善できる起爆剤になると考えている」と説明した。

海外の状況について丸橋CSOは、「中国ではアイスパンを仕掛けて大ヒットしている。使用されるマーガリンやホイップクリームがかなり増えてきている」と述べた。このほか、シンガポールでDHA関連製品の工場を設備しているという。同国をベースにすれば、ハラール、コーシャの認定が取れ、東南アジア以外の全世界で商売ができると期待しているという。

〈大豆油糧日報2020年11月12日付〉