食用油、2020年度通期で1600億円の大台も射程、ごま油の大幅伸長が目立つ

ごま油の大幅伸長が目立つ(画像はイメージ)
食用油業界は他の食品カテゴリと同様、業務用は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けているが、家庭用については内食需要の高まりにより、上期(4~9月)は金額・物量とも2ケタ前後の伸びと好調に推移している。このペースでいけば、通期で1600億円の大台も射程圏内で、過去最高を更新する可能性は高い(グラフは家庭用市場規模の推移、2020年度は上期実績、日清オイリオグループ調べ)。
食用油の家庭用市場規模(2014年度~)

食用油の家庭用市場規模(2014年度~)

とりわけごま油の伸長が目立っており、キャノーラ油に迫る勢いだ。唯一、前年割れとなっていたアマニ油やえごま油といったプレミアム油も、下期は各社の新商品やリニューアル品の販売強化で伸長が期待される。
 
日清オイリオグループ調べによると、上期の家庭用食用油の市場規模は、金額が9.0%増の861億円、物量が10.1%増の18万247tとなった。14年度の同期(529億円)比では63%増に相当する大幅な拡大となった。
 
最大カテゴリのオリーブ油は3.6%増の229億円、物量は9.7%増となった。物量の方が大きな伸びを示しているのは、安価な輸入大容量が増えたためで、各メーカーも廉価販売の影響は受けているとしている。キャノーラ油は10.8%増の220億円、物量は8.2%増となった。これまでのように汎用油から高付加価値油に流れたのではなく、全方位に拡大したのがこの上期の特徴と言える。
 
ごま油は31.6%増の197億円、物量は27.6%増と大きく拡大した。内食比率が高まった際、調理頻度が伸びた炒め物メニューや、外食が控えられたことで作られることが多かった餃子や中華系の味の濃い料理の大半にごま油が使われることなどから、市場拡大につながったと見られているようだ。
 
サプリ的オイルは14.7%減の93億5,000万円、物量は14.8%減となった。金額の内訳は、アマニ油が6.1%減の52億円、えごま油は34.5%減の27億円、MCTオイルは96.9%増の7億円となった。アマニ油とえごま油のマイナス要因としては、昨年大きく伸長していることに加え、安定供給と店舗運営における安全確保を優先する状況の中、同カテゴリを含む食用油のカテゴリ割引などの販売促進を控えたことが背景にあるとされる。
 
ほかのカテゴリは、こめ油が30.4%増の50億円、物量は32.8%増と、こちらも大きく伸長している。
 
〈ごま油は5年で1.5倍に拡大、下期はプレミアム油の巻き返し期待〉
上期に大きく伸びた背景にはもちろんコロナの内食化の高まりの影響もあったが、「仮に下期が前年比100%で推移するしたら、20年度の食用油は1600億円を超える見込み」という声もメーカーからは聞かれる。
 
この上期のトピックとしては、ごま油の市場拡大が特に目立ったことだ(写真)。このままの伸びが続くと、オリーブ油、キャノーラ油と同等の市場規模となるのも時間の問題とも思える。日清オイリオグループによると、ごま油は2014年度に212億円、2019年度には297億円と5年で1.5倍に拡大している。仮に下期を前年同期比100%とすると、340億円を超える規模となる見込みだ。
 
下期に向けては各社、新商品の投入やリニューアル品の発売を機にプレミアム油の販売強化の動きが目立っており、巻き返しが期待される。
 
〈大豆油糧日報2020年12月3日付〉