食品用の輸入大豆は毎年70万t前後が輸入されており、総合商社の兼松は業界トップとなる約15%のシェアを誇る。食糧素材部の松本憲二部長は、「豆腐、みそ、しょうゆ、納豆、豆乳といった大豆加工品メーカーに向けて、輸入大豆を安定供給している。事業会社の兼松ソイテックは国産大豆もカバーしており、小豆などの雑豆や、豆腐業界向けに、にがりや消泡剤、パックなど周辺の商材も販売している」と国内での展開について説明する。

さらに海外では、米国オハイオ州にNon‐GMO大豆に特化したサプライヤーの立ち位置である事業会社KG Agri Products Inc.が、日本向けをメインに米国市場、一部欧州にNon‐GMO大豆を輸出している。

直近(3月3日)ではシカゴ大豆相場は$14台の高値を付けている。高騰に至った背景について、食糧素材部食品大豆課の繁田亮課長は、「米国の生産者サイドでは昨年8~9月まで順調だったが、8月後半の気温上昇で収量が伸びなかった。時期を同じくし、豚コレラや新型コロナの影響で落ちていた肉の需要が回復した中国で搾油用の原料大豆の需要が増えたところに、ラニーニャの影響によるブラジルの作付けの遅れが重なり、輸出需要が増えてきたことで需給バランスがさらにタイトになった。8~9月からはどんどんシカゴ相場が上がっている」と振り返る。

ただ、中国のマーケットでは、現在のような高い原料大豆を搾油した大豆かすで飼料を作っても採算が合うといい、「ペースを落とさずに買付けし、恐らくすでに米国から見て9~2月で4,000万tほどの輸出の成約が進んできている。当初予想より増えている」と述べる。

2月に入り、本来であればブラジルから1,000万tほど輸出されてもいいはずだったとするが、「作付けが遅れた分収穫も遅れており、例年の半分程度しか輸出されない可能性も出てくるが、物理的に現物を買わないといけない。昨年8月くらいまで、米国の需給バランスは比較的余裕はあったが、需給がタイトで在庫が減っていることに応じる形で、シカゴ相場が上がっている」と背景について説明する。

〈トウモロコシも高騰、米農務省の大豆作付け見通しは9,000万Aと生産量増加に期待〉
世界の穀物市場では、大豆だけでなく、トウモロコシの価格も上がっている。要因は中国だ。中国における飼料のメイン商材はトウモロコシで、自国でも生産している。ところが天候の問題により、中国のトウモロコシの自国生産が伸びなかったという。

繁田課長は、「中国のトウモロコシの輸入はせいぜい100万t以下だったが、2,000万tを超えてきている。2~3年スパンでみると、3,000万t規模になるのではないか。それ自体はトウモロコシの強材料だが、マーケットの目は今年の年間の作付け動向に移っている。どっちを植えれば儲かるかの視点で考えると、今まで大豆の価格が上がってきた分、農家は大豆にシフトするという見方をしていたが、トウモロコシが上がっているので農家は悩み始める」と説明する。

一方、米農務省が現地の18~19日にかけて開催した「アウトルック・フォーラム」では、大豆の作付けは20年の8,300万Aに対して、700万A増となる9,000万Aの見通しを発表した。「過去10年でみても、9,000万Aはかなり大きな面積となる。足元では$13だが、これから作付けする農家は来年の1月限あたりを見ている。こちらはまだ$11後半から$12。それでもまだ多少大豆が有利で、大豆の作付面積も増えていきそうな流れにはなっている」と見通す。

今後、米農務省は2週間ほどかけてエリアの代表に何を植えるかをヒアリングし、その結果が3月31日に出ることになる。「9,000万Aもうまくいっての面積で、その後も天候などで収量がどうなるかだが、生産量の増加が期待できるのは注目すべきところ」と述べる。

〈大豆油糧日報2021年3月5日付〉