泰喜物産 大豆粉・大豆クリーム・ソイホイップ、豆腐店にドーナツ向け「大豆粉ミックス」の提案を開始、グルテンフリー訴求〈大豆が拓く食の可能性〉

泰喜物産試作スイーツ例 ドーナツ、ロールケーキ、紅茶バウンドケーキ、紅茶シフォンケーキ、ヨーグルトベイクドケーキなど
泰喜物産は4月から、豆腐店にドーナツづくりに最適な「大豆粉ミックス」の本格的な提案を開始する。小麦粉から100%置き換えるとグルテンフリーになることを訴求する。同社は「全脂脱臭大豆粉」(以下、「大豆粉」)や「大豆クリーム」「ソイホイップ」といった大豆由来の製品群の提案に力を入れている。それらを使って、クレープやチョコケーキなどの試作に取り組んできた。

試作を繰り返す中で、小麦粉の代わりに「大豆粉」を用いてパンケーキやシフォンケーキにした場合は目立たないが、スポンジやドーナツにした場合はボリューム感が出ない、釜落ちするといった欠点が見られたという。そこで、それらの欠点を補った「大豆粉ミックス」の試作に取り組んだ。

同社が販売する「大豆粉」は、脱脂大豆を微粉末にしたもので、従来の大豆の粉とは異なり、水への溶解性に優れ、大豆臭も脱臭されているのが特徴だ。また、「大豆クリーム」は、この「大豆粉」にココナッツオイルを加えて開発したもので、豆腐メーカーの新商品にも採用実績がある。「ソイホイップ」は、「大豆クリーム」にホイップ機能を付与した純植物性で低脂肪のホイップクリームで、ロールケーキなどに使うことを想定している。

同社は豆腐づくりに必要な食品添加物や資材、用具などを販売する商社だ。金井健三社長は「大豆粉ミックス」について、「まずはユーザーである豆腐店に向けて、グルテンフリーであることを訴求し、ドーナツを提案していく」と述べる。豆腐店は油揚げやがんもなどを作るため、フライヤーを設置しており、おからドーナツや豆腐ドーナツを作っているところも多いという。

泰喜物産・金井健三社長

泰喜物産・金井健三社長

ドーナツは通常、揚げると油を吸ってしまうが、「大豆粉ミックス」を用いて揚げると、吸油しにくくなるという。「火の通りは悪いが、油を吸わない。味もきちんとある。揚げ時間は長くなるが、おいしさが向上し、油っぽさが少なくなる」と訴求する。また、「ドーナツに限らず、フィナンシュを揚げてもいい。外はサクッと、中はジューシーに仕上がる。ミキサーとオーブンがあれば作れる」と説明する。
 
「大豆粉ミックス」を水で溶き、薄く焼けばクレープも作れる。「『ソイホイップ』を使い、湯葉と交互にミルフィーユ状にして、『たん白リッチ』として提案できる」と述べる。
 
乳製品フリーをうたうことも目指すが、「製造委託先に単独の生産ラインが必要となる。乳製品も使っているが、きちんと洗浄しているところでまずはスタートしたい」と語る。
 
〈「大豆粉」中心に作れるスイーツの精度向上、「ソイホイップ」は解凍時の固形性維持〉
泰喜物産がこれまで試作したスイーツの例として、ドーナツ、ロールケーキ、紅茶バウンドケーキ、紅茶シフォンケーキ、ヨーグルトベイクドケーキなどが挙げられる。
 
「これだけの種類のスイーツが『大豆粉』を中心に作れる。かなり精度が上がってきて、さまざまなレシピもサンプルとして作ることができるようになっている。
 
たとえば、一般的なロールケーキは冷凍後、解凍するとクリームがダレてしまい、固形性がなくなるという。だが、同社の「ソイホイップ」を用いたロールケーキだと、解凍後もクリームは崩れないという。その理由について金井社長は、「大豆由来の食物繊維が残っていて、解凍した時の固形性維持に役立っていると考えれられる。乳以上に冷凍、解凍に適し、毎日作るよりも管理しやすい」と利点を述べる。
 
また、「ヨーグルトベイクドチーズケーキ」は、大豆粉を発酵させたペースト状の発酵液を原料に使っている。同発酵液はサンプルを出すことも可能だ。
 
〈大豆油糧日報2021年4月5日付〉