創業130年を迎えるヤマニ味噌(千葉県佐倉市)はこのほど、販路拡大や通販事業の強化など事業拡大計画を発表した。千葉県では、プライベートブランド商品の開発を手がけるなど、地元の人に愛されているみそメーカーだが、藤川茂専務取締役は、「年々、みそ市場は縮小しており、コロナ禍で小さなみそメーカーが倒産していく中で、自分たちのやれることをやろうと、ブランドの再構築に取り掛かった」と危機感を募らせながら、未来への挑戦を決断した。
ヤマニ味噌 藤川専務

ヤマニ味噌 藤川専務

 
「130年間守り続けてきたみそ造りを決して絶やしてはいけない。後世の人々にも受け継いでいかなければいけない」との思いから、外部コンサルタントの知恵も活かし、検討を重ねてきたという。
 
リブランディングの新コンセプトは「百年前から、発酵中」。これを元にブランド戦略を展開することとし、商品パッケージやホームページなどのリニューアルを進め、全国展開を視野に入れたさまざまな事業拡大施策を策定した。事業拡大や食育活動を通じて、新たな雇用創出や地域活性化にも貢献していきたいとしている。
 
ヤマニ味噌の大きなセールスポイントは、「伝統の木桶仕込み」「半煮半蒸製法」「種みそ仕込み」の3点だ。「仕込み桶には、古い物で約100年使用している、4tの杉の木桶を使用している。この木桶には、みその味を造る酵母菌が、永い年月を経て沢山住み着いている。永い年月を積み重ねて使用してきた木桶だからこそ出せる味、呼吸する木桶だからこそ出せる味がある」と思いを込める。
 
「半煮半蒸製法」は、みその大豆は蒸すか煮るかどちらか一方を行うのが一般的だが、ヤマニ味噌では、それぞれの良さを引き出すために両工程をあえて行う。そして、熟成発酵を促進させるため、天地返し(桶の入れ替え)を行うなど、どれも手間のかかる作業を惜しまない。
 
また、昔ながらの種みそ仕込み(先に仕込んだみそを掘り出し、発酵・熟成の種とする)を採用している。明治20年の創業以来、代々続いている伝統の製法で、他では味わえない同社だけの味、蔵ぐせを味わうことができるとする。
 
食品メーカーとのコラボにも意欲を見せる。「スーパーのプライベートブランドやラーメン屋、肉・魚の食品加工メーカーとの実績はある。高級食パンや焼き肉のタレなどでも共同開発の経験はあるので、地方のみそ屋というよりは、全国的に認知されるようなみそメーカーを目指して、業務用としての取り組みも強化していきたい」とする。
 
〈30〜40代の女性を想定して「脱佐倉」を意識したパッケージにリニューアル〉
パッケージのリニューアルでは、これまで「佐倉のおみそ」としてやってきたが、地場への愛着は残しつつ、「脱佐倉」を目指し、全国展開できるようなパッケージにリニューアルした。
 
「今回、ターゲットには30〜40代の女性を想定して、商品の良さを分かりやすく、手に取ってもらいやすいデザインを採用することで、商品の認知向上を促進していきたい」と説明する。
 
ホームページや通販サイトもリニューアルした。創業からの歴史や製造のこだわりを伝え、SNSで情報を発信できるようにした。
 
食育活動にもこれまで以上に取り組んでいきたいとする。「千葉県の多くの学校給食にうちのみそを使っていただいている。一般公開はしていないが、小中学生からの工場見学にはできるだけ対応していきたい。千葉県には弊社のような伝統的なやり方でみそを造っているところは少ないので、伝統技術を継承していくためにも、より分かりやすく、子供たちに伝統の技術を伝えていきたい 」と地域密着型の企業としての機能もさらに磨きをかけていきたい考えだ。
 
◆「ヤマニ味噌」公式ホームページ
 
〈大豆油糧日報2021年4月21日付〉