新型コロナ禍を契機にコンテナ船の運賃は高騰し、大豆業界にも大きな影響が出ている。現状のコンテナの需給状況や、今後の見通しについて、国内と海外25カ国で事業を展開しているグローバル物流企業、日新(横浜市中区)のNVOCC事業室の中島剛室長に話を聞いた。

中島室長によると、「コンテナの需給はコロナ以前と以後では大きく変わった」という。2019年12月に中国・武漢で1例目の新型コロナ感染者が出てから、コロナ禍が一気に広がり、中国の工場が一斉に閉鎖する事態となる。やがてアジアや欧州にも波及していくが、中国はいち早く立ち上がり工場が再開する。

一方、欧米では巣ごもり需要が高まっていく。中国で製造されているDIY関連製品などの消費が動き始め、Eコマースの利用も急増した。それまで余暇はバカンスに出かけていたが、コロナ禍でコト消費がモノ消費に回ることになった。2020年3~4月から顕著に増えはじめたとしている。

コンテナの動きを見ると、「その頃、中国から欧米にはワンウェイでコンテナが出始めた。中国に滞留していたコンテナが使用され、欧米からの空コンテナは中国には戻ってこなかった。その間にアジアでも経済が立ち直るが、欧米の消費は続いた」という。

欧米の場合、港湾から実際に運ばれた商品が使用される場所までは距離がある。たとえば、ロサンゼルス港に着くと、陸路で中西部まで運ばれる。積み荷を降ろし、再びロスの港までコンテナを戻すのに1カ月ほど要することになる。そのため、「中国やアジアではコンテナが不足し、欧米への運賃が高騰した。さらに、欧米ではコロナ禍で労働者が出勤できなくなり、港湾が止まった。コンテナが空にならず海上にある状態で、戻ってくるコンテナがない」とコンテナ不足の背景を説明する。

〈空コンテナで戻す方が儲かる状況、来年には西岸海岸でストライキも控える〉
中島室長は欧米へのコンテナ船の運賃について、「ボトムからピークまで10倍に高騰しており、$2,000から$2万になっている」と説明する。9月21日現在もスポット運賃は$2万となっている。

コロナ以降はコンテナが足りなくなり、現在、空コンテナは貨物を積まずに中国へ戻しているという。「中国から米国への輸送は14日かかる。帰りのコンテナで米国から大豆を積めば、日本の港を経由して、コンテナを降ろさないといけない。通関が大体3日間で、工場に輸送されて中身を下ろし、仮にコンテナを2日後に返しても、その後、中身の点検や清掃が必要になる」と解説する。すなわち、余分な日数がかかってしまい、$2万稼ぐのに1カ月要することになる。

対して、空コンテナで戻せば1カ月で2往復でき、倍の$4万を稼ぐことができる。そのため、たとえ大豆の荷主が追加で$2,000支払うという条件を申し出ても、船会社にとっては空のコンテナを戻した方が儲かる状況となっている。

「欧米ではクリスマスに消費が活発になる。貨物が増え、運賃も上昇する。船会社はピークが終わらないうちに、8月下旬から高い運賃で稼ごうとする。そのニーズとマッチし、穀物生産者は空コンテナを取れない状況」だという。

ピークは本来12月で終わるが、2月までは状況は変わらないという見通しもあるようだ。「欧米の需要は止まらない。モノ消費からコト消費にならないと状況は変わらない」と説明する。

また、来年は米国西岸港湾の労働組合である国際港湾倉庫労働組合(ILWU)のストライキが控えているという。来年9月、6年に1回の労働協約の契約更改があり、交渉は2月から徐々に始まる。「過去2回、2002年から2003年にかけてと2015年に1カ月間、港湾が止まった。荷主はこれを警戒している」という。仮にストライキで西海岸の港湾が止まっても、東海岸やガルフ、カナダは抜けられる。そのため、西海岸以外に集中することで、ニューヨーク向けコンテナ船の海上運賃が高騰する可能性も指摘される。

とはいえ、FMC(連邦海事委員会)は、船会社の談合や違法契約などの不正を防いでいるといい、「大豆がきちんと日本に入ってくるかは、それら機関の動きにかかっている」と解説する。

〈大豆油糧日報2021年10月4日付〉