“大豆で世界が変わる”コンセプトにイベント開催、植物性バター・チーズ・ウニ使用のメニュー提供/不二製油グループ本社

(左上から時計まわりに)「スパイシートマトソースのソイミート野菜入りボール」「ヤンニョムソイチキン」「ショコラソイチーズケーキ」「ソイティラミス」「ソイウニ&ソイチーズのわさび醤油マリネ」
不二製油グループ本社は10月1日から31日まで、東京・有楽町で「大豆で世界が変わる」をコンセプトにした期間限定ポップアップイベントを開催している。

同社が2019年から大豆を使ったプラントベースドフード(PBF)を提案している「UPGRADE Plant based kitchen」と、日本各地の食材を使ったバルメニューを提供している「micro FOOD & IDEA MARKET」とのコラボイベントで、不二製油の大豆ミートや植物性バター・チーズ・ウニなどを原料に用いたランチメニューが提供されている。2020年秋も同イベントを「UPGRADE in TOKYO」として開催したが、「前回よりブラッシュアップした」と強調しており、肉系メニュー以外にも魚や乳系メニューもバランスよく取り入れた。

特に注目は、大豆由来の「ソイウニ」だ。不二製油グループ本社の鈴木清仁執行役員PBFS事業部門長・不二製油たん白事業部門事業部門長は「ソイウニ」の開発について、「ボディ感と濃厚感が特長だ。さらにザラっとした食感、モロっとした食感が合わさってウニと感じる。なめらかにするとウニと感じなくなるため、乳化させすぎないで寸止めの状態にするのがポイントだ。中途半端な食感を工業的に作り出すのは苦労した」と振り返る。

不二製油グループ本社 鈴木事業部門長、岡本グループリーダー

不二製油グループ本社 鈴木事業部門長、岡本グループリーダー

 
今後の「ソイウニ」の展開については、「工場の現場のテストも終わり、いつでも提供できる状態で、サンプルワークを始めている。BtoBでの展開を考えており、まずは価値を認めてもらう。年明けから本格的に、ホテル、レストランの採用を目指していく」としている。
 
〈1社だけでさまざまなメニューを提供できる強み、日本らしさの発信が大事〉
鈴木事業部門長は同社のプラントベースドフードの強みについて、「大豆ミート素材は鶏肉、豚肉、牛肉タイプなど60種類以上のバリエーションがあり、お客のニーズに合わせて提供できる。粒状大豆たん白で50の圧倒的なシェアを持っており、安定した品質も強みだ」と説明する。
 
同社はこれら素材型の事業のみならず、ハンバーガーのパティといった加工食品事業も展開している。「アプリケーション開発にも力を入れており、肉だけでなく海産物や、デザートに使えるバター、チーズなど、1社だけでさまざまなメニューを提供できる」と強調する。
 
2021年2月には、一風堂と植物性とんこつ風ラーメン「プラントベース赤丸」を開発した。不二製油の「MIRACORE(ミラコア)」という新技術でスープベースを表現したという。「これまではBtoBで黒子のイメージだったが、いいものを作っていることを前に出していく」と自社ブランドの展開にも意欲を見せる。
 
ウニ以外の海産物のプラントベースドフードの開発については、「海産物の人気ランキングにも入っているツナは考えている。突飛なものをやっても仕方がない。付加価値の高いものか、一般に普及しているものとなり、ツナ以外ではエビやイカなどになってくる」と述べた。
 
プラントベースドフードの今後の普及については、「前提としておいしくないと駄目だ。動物性にあって植物性にないのは何かを考えてきた。動物性はたん白質と油が組み合わさって脳がおいしいと感じる。植物性でたん白と油脂を合わせることが、製品づくりのポイントになる」と述べた。
 
一方で、「植物性由来のおいしさも訴求していかないといけない。肉、魚の馴染みのあるメニューでも、大豆らしい植物性が残っているのがベストと思っており、開発でも注力している。本物のウニは磯の臭みが苦手という人もいるが、『ソイウニ』は品質が一定で、後味がすっきりしている点を楽しんでもらいたい」と述べる。また、「欧米でプラントベースドフードが流行っているからハンバーガーというのではなく、日本らしさを発信していくことが大事だ。ラーメンはしっかり取り組んでいく。
 
2021年3月に『Plant Based Lifestyle Lab』を立ち上げた。オール日本で日本らしさが何かを考えていきたい」と述べた。
 
〈大豆油糧日報2021年10月8日付〉