納豆・豆腐メーカーの丸美屋、手間が一切かからないスティック納豆「お城納豆パワーキッズスティック納豆」を開発、学校給食など業務用で販売開始

丸美屋「お城納豆パワーキッズスティック納豆」(冷凍)
納豆・豆腐メーカーの丸美屋(熊本県玉名郡)は10月1日から、手軽で利便性が高く、環境にも配慮した「お城納豆パワーキッズスティック納豆」(冷凍)を、業務用として販売開始した。

子どもも食べやすいひきわりタイプで、賞味期限は冷凍で3カ月間もつ。あらかじめ味がついている納豆のため、封を開けるだけで手軽にそのまま食べられ、ご飯やパンに使うことが出来る。

丸美屋「お城納豆パワーキッズスティック納豆」調理例

丸美屋「お城納豆パワーキッズスティック納豆」調理例

 
蓋を開けて被膜を外し、タレを混ぜるという、通常のトレータイプの納豆に必要だった手間がかからない。さらに、プラスチックの使用量を約3分の1以下に抑えられ、環境に優しいほか、ごみが邪魔になるという納豆に関する消費者の不満点も解消する。まずは、学校給食や介護施設、病院食などをターゲットとしていく。食べきりサイズの20g(12個入り、20個入り)で展開している。
 
「お城納豆パワーキッズスティック納豆」は、子どもにも手軽に食べてほしいという思いや、猫好きな丸美屋の東健社長が、ペースト状でお皿が汚れないキャットフード「ちゃおちゅ〜る」(いなばペットフード)にヒントを得て、約2年の開発期間を経て誕生したという。
 
丸美屋開発室の小幡浩之室長は、「一番苦労したのは味付け。はじめは丸大豆を使ってしょうゆベースで開発を進めていたが、スティック状にして冷凍すると味がぼやけてしまい、おいしさが持続しなかった。そこで、当社が九州でシェアナンバー1の強みをもつひきわりタイプとし、タレは何十種もの調合を研究し、最終的に『ほんのり梅味』にたどり着いた」と、開発までの苦労を語る。
 
また、包装のカット口が水に濡れてしまうと、封が切りにくくなってしまうことから、フィルムの材質を変更するなど改良を重ね、幼稚園児でも簡単に食べられる仕上がりにこだわった。
 
〈コンパクトな設計で保管場所とらず、輸出も視野に、いずれは家庭用も展開〉
評価は上々で、300人以上を対象とした社内モニターでは約8割が、さらに自社直売所で試食会を開き350人に食べてもらったところ、ほとんどの人がおいしいと評価した。
 
納豆は朝食と夕食に食されることが多いが、同商品はその簡便性から、小腹が空いたときのおやつや夜食、仕事の合間、運動後など、これまであまり納豆が食べられてこなかった時間帯にも選択してもらえる期待がある。また、封を開けてそのまま食べれば、ほとんど香りも広がらないため、納豆が苦手な人も食べやすいという。コンパクトなサイズで、保管に場所をとらない。タレを配合するタイミングなど、スティック納豆製法の特許も取得済みだ。
 
丸美屋は、SDGsに取り組む方針を示しており、納豆市場の拡大とともに、廃棄されるトレーの増加を課題と捉え、スティック状の形態にすることでプラスチックゴミ削減を図り、さらには、環境に優しいバイオマスインキを採用した。まずは、学校給食など業務用の商談を進めていくが、今後は賞味期限を1年まで延長させ、将来的には東南アジアや中国など輸出も視野に入れる。
 
「輸出企業からの関心が高い。日本では納豆は混ぜて食べることが定着しているが、初めて納豆を食べる海外の消費者にとっては非常に便利な商品」と期待を込める。さらに、いずれは家庭用も展開したい考えだ。
 
また丸美屋は、約10年前に農業法人「農匠なごみ」を設立し、大豆の栽培を行っている。「現在、自社納豆に使用している原料大豆は、輸入8割、国産2割だが、今後は自社栽培の規模を拡大し、国産大豆商品を増やしていきたい。世界的に大豆需要が増す中での調達リスクの回避や、SDGsの観点からフードマイレージ(輸送量に輸送距離を掛け合わせたもの)を減らし、何よりも生産から製造、販売まで一貫して担うことで消費者により安心安全な商品を届けたい」と話す。
 
〈大豆油糧日報2021年11月19日付〉