大豆ミートで食育授業「食べて学ぶSDGs」開催/八千代エンジニヤリングとあづまフーズ

「ベジミート」使用キーマカレー
建設コンサルタントの八千代エンジニヤリング(東京都台東区)とあづまフーズ(三重県三重郡)はこのほど、三重大学教育学部附属中学校において、食育授業「食べて学ぶSDGs」を共催した。

全4回予定で第1回目の今回は、中学1〜3年生に「食と社会・環境問題とのつながり」をテーマに授業を行うとともに、給食として、あづまフーズの「ベジミート」を使用したキーマカレーを提供した。

八千代エンジニヤリングは、数年前からミャンマーで食に関する事業の立ち上げを進めていたが、新型コロナの感染拡大や2月にクーデターが起きたことから、中断を余儀なくされる。その後、国内で新事業を模索し、プラントベースフードに着目することになった。

八千代エンジニヤリングで新規事業を担当する池田好孝氏は、「プラントベースフードは欧米を中心に流行っていたことから、1年ほど前から試食を開始し、社内の有志でプラントベースフードのデータベースをつくりはじめ、200ほどのデータが集まった。その過程で、子どもでもおいしく食べてもらえる商品やレシピがあるのではと、学校向けのイベントを企画した。日本でも関心が高まっているSDGsを絡めた授業を行えば、SDGsとも親和性の高いプラントベースフードも受け入れられると考えた」と説明する。

あづまフーズとの出会いは展示会で、同企画の趣旨を説明すると、共催することが決まったという。「子どもに食べてもらえる商品を探していたところ、あづまフーズのそぼろ状の大豆ミートは他の商品に比べてクセがなくて、無味無臭だったので使わせてもらった」という。池田氏の同級生が同中学校に勤務していたことや、国立の中学校には「探求」という授業があり、子供達がSDGsを研究しているため、提案に対してすぐに話が進んだという。

あづまフーズ海外事業部の松永瞭太氏は、「大豆ミートの製造販売は以前から行っているが、国内での認知度が高くならなかった。なぜ海外で売れているか考えると、食育は避けて通れないという思いを常日頃から持っていた」と共催の理由を語る。

〈今後は全都道府県で実施目指す、数万人の子供の評価を分析して開発につなげる〉
当日の給食は黙食の形で行われたが、松永氏は「子どもたちの表情からリアルタイムで反応が見れたのはいい経験になった。アンケートも実施し、子ども目線で率直な意見が集まった。『機会があればまた食べたい』というのもあれば、『もう二度と出してほしくない』という声もあった。授業を通して一番消費者に近い声を知ることができ、有意義だった」と振り返る。

味の評価では、「7割以上が好感を持ってくれた。1〜2年生は8割以上がいい評価をくれており、概ね評価は高かった」と手応えを得ている。最近の中学、高校では生徒がタブレットを所有しており、アンケートも即日フィードバックが得られ、デジタルなので集計の必要もないという。

池田氏は「今回、三百数十人の生徒から、給食と授業の感想をもらった。これらの意見をもとに授業をアップデートし、今後は国立大学附属の中学校などを中心に、全都道府県で1度は実施したい。大豆ミートやプラントベースフードの製造企業とコンタクトを取ってネットワークを広げ、一緒に業界を盛り上げていければ」と意気込みを語る。また、「今後、数千人、数万人の子供たちの評価が得られれば、それを分析して、新しい大豆ミートの開発にもつなげられると考えている」と展望を語る。

今回の授業は、学校から講義代を受け取ったのみで、CSRの活動の一環のような形で行ったという。ただ、あづまフーズに対しては、自社宣伝を含めて10分間話せる枠を設けたという。ビジネスモデルとして、プラントベースフード企業に授業での広告枠を販売することも視野に入れる。

また、八千代エンジニヤリングはインド産のひよこ豆を使った代替肉の開発も進めている。NPO活動を通じてインドでの人脈やネットワークを持つ塚原絵理氏が提案した事業で、「ひよこ豆自体にクセが少ないということと、ヨウ酸が豊富なので、妊婦や妊娠を望む女性にも訴求できる面がある」と着目した理由を語る。

〈大豆油糧日報2021年12月24日付〉