アサヒコ「豆腐バー」新商品、「豆腐のお肉」使用した冷凍餃子・焼売を発表、プラントフォワード事業戦略発表、「たん白質のダイバーシティ」を提案

アサヒコ「豆腐のお肉餃子」
今年50周年を迎える豆腐メーカーのアサヒコ(さいたま市)は6月7日、手軽に植物性たん白質が摂取できる「TOFFUPROTEIN(トーフプロテイン)」シリーズを展開するプラントフォワード事業戦略発表会を都内で開催した。

同事業の展望を説明したほか、発売から約1年で出荷本数1000万本を突破するなど話題の「豆腐バー」新商品、今秋新発売の「豆腐のお肉餃子」「同焼売」を発表した。さらに、国内に366店舗展開する定食レストラン「やよい軒」で初となる、アサヒコの大豆ミートを使用した定食3メニューが6月14日から販売開始となる。

始めに、アサヒコのプラントフォワード事業部長兼マーケティング室長の池田未央氏が、「当社は、1972年に国内で初めて充填豆腐を量産化するなど豆腐業界のパイオニア。最近では『進化系豆腐』として話題の『豆腐バー』や『大豆・豆腐のお肉』を販売している。豆腐市場は縮小傾向にあるが、米国では『TOFU』が魚や肉に並び、植物性たん白質として重宝されているほか、国内たん白質市場は10年で3倍になっている。植物性たん白源として捉えることで、豆腐を召し上がって頂けるチャンスがあると考えた」と、豆腐の可能性を話した。

アサヒコ プラントフォワード事業部長兼マーケティング室長・池田未央氏

アサヒコ プラントフォワード事業部長兼マーケティング室長・池田未央氏

さらに、今まで培ってきた豆腐、大豆の加工技術を生かした製品を提供していくことで、新興国の肉食化進行や人口増加により食肉の供給が追い付かなくなり、肉を買える人・買えない人が生じてしまう「たん白質の格差社会」を無くし、たん白質不足による健康リスクを低減するため、同事業を立ち上げたという。
 
昨年3月に発売した「TOFFU PROTEIN」シリーズは、糖質やコレステロール、環境負荷を「ОFF」しながら、持続可能で体に有効な植物性たん白質を体内に取り込める(IN)製品群で、高たん白質豆腐、大豆や豆腐を原料とした「大豆のお肉」、「豆腐のお肉」、豆腐の米・麺の開発を行っていると紹介した。また同社は、「たん白質のダイバーシティ(多様性)」を提案し、たん白質の選択肢やメニューの選択肢、オケージョンの選択肢を増やすことをテーマに、今回の新商品開発を進めたという。
 
スティック形状で食べるシーンを選ばない「豆腐バー」は、6月1日から、高たん白の特徴はそのままに昆布出汁で飽きのこない味わいの「旨み昆布」、野菜エキスにバジルの風味を加えた「バジルソルト」を発売した。動物性原料不使用でヴィーガン仕様。すでに全国の量販店で多数採用が決まっているという。同社は今年1月に、行田工場で新たに最新の豆腐バー連続製造ラインを導入・稼働させた。「セブンプレミアムで展開している豆腐バーの販売を継続しながら、今回ナショナルブランドの豆腐バーが加わり、食べて頂く機会が更に増えるのではないか」と期待を示した。
 
〈「TOFFU PROTEIN」シリーズ、今秋から冷凍「豆腐のお肉餃子・焼売」〉
また、たん白質は毎食コンスタントに摂ることが良いとされているものの、朝食や昼食は炭水化物に偏りがちであること、摂取するたん白質は動物性に偏っている傾向を受け、同シリーズでは前菜からデザートまで幅広いラインアップをそろえる。その中で、食卓登場頻度は高いが植物化があまり進んでいない餃子・焼売カテゴリで新商品を開発し、今秋から冷凍「豆腐のお肉餃子」「豆腐のお肉焼売」を発売する。体に良い不飽和脂肪酸を含み、ジューシーで柔らかい「豆腐のお肉」の特徴を生かして開発し、「餃子」は5種の野菜を加えてヘルシーに仕上げた。「焼売」はタケノコやシイタケなど4種の具材を配合し、冷めてもおいしく食べられる。そして、家の外でも気軽に植物性たん白が摂れるオケージョンの選択肢を増やすべく、やよい軒と定食の開発を進めたという。
 
〈「やよい軒」でアサヒコ大豆ミート使った3品、しっかりとした厚みと柔らかさ特徴〉
トークセッションで、やよい軒を展開するプレナスの商品開発部外食商品開発課の大谷信晃氏は、大豆ミートを使用した新シリーズの紹介を行い、同店ナンバー1の「しょうが焼定食」(税込640円)、人気メニュー「野菜炒め定食」(730円)、「なす味噌と焼魚の定食」(930円)の3種で、肉を大豆ミートに置き換えたメニューを販売開始する。価格は既存の肉使用メニューと同価格。大谷氏はアサヒコの大豆ミートを採用した理由について「しっかりとした厚み、食べ応えがあり、大豆の臭いを抑えていた。やよい軒のお客様にもご満足頂ける定食になると思った」と話した。

やよい軒「野菜炒め定食」大豆ミート置き換えメニュー

やよい軒「野菜炒め定食」大豆ミート置き換えメニュー

池田氏は、同社の大豆ミートの特徴に関して、「当社はグローバル企業プルムウォンのグループ会社で、ワールドワイドで植物肉研究を行っている。米国チームでは、赤身の塊肉が米国では好まれることから噛み応えのある大豆ミートを開発していたが、日本の方は適度に脂身があり柔らかい食感を好むことから、厚みは残しながら、ジューシーで柔らかい大豆ミートを開発した」と説明した。やよい軒でのテスト販売では、女性50~60代を中心に完成度や味付けで高評価だったとし、大谷氏は「ぜひ店舗で食べてほしい」と自信を見せた。
 
〈大豆油糧日報2022年6月9日付〉