アメリカ大豆輸出協会(USSEC)は7月21日、サステナビリティシンポジウム「大豆が拓く持続可能な未来」をオンラインで開催。相模屋食料の鳥越淳司社長が「日本の伝統食品おとうふの逆襲」と題し、講演した。

鳥越社長は始めに「私達は豆腐屋であり、そのことに誇りを持っている。なぜ当社がヒット商品を続々と出せるのか。それが1200年の歴史をもつ伝統食品おとうふの力。その可能性を引き出すのが当社の挑戦だ」と強調した。

鳥越社長は、プラントべースフードの時代が来ているからこそ、豆腐は世界で戦える伝統食品になり得るとし、相模屋食料の豆腐の新市場創出の取り組みについて、「伝統的な豆腐を極めた上でそれを進化させるという形で、新しい市場を創出する商品を次々と発売している。私の趣味の商品であり、何かを狙ったわけではないが、『機動戦士ガンダム』とのコラボ『ザクとうふ』をきっかけに、常温で手軽な油揚げ『おだしがしみたきざみあげ』は4年で4,000万パック越え、『ひとり鍋』は、豆腐総菜は売れないと言われていたが、シリーズで年間約36億円規模と、大ヒット商品を生み出している」と述べた。「おだしやっこ」シリーズは、米国大豆でしか出せない味だとし、SSAP認証マークを入れている。

さらに、豆腐は世界最強の植物性食だとし、「古来より良質なたん白源として、日本人の健康を支えてきた。発展させたのが『BEYOND TOFU』で、豆腐がランウェイを歩いているところを見てみたいと思ったのがきっかけだった。2014年から20回以上『東京ガールズコレクション』でモデルの方が豆腐を持ってランウェイを歩き、豆腐のブースでは女の子達で大行列となり、とても嬉しかった。成功の秘訣は、植物性食はおいしくないというイメージを持つ人がいるが、それを払拭出来たことではないか」と述べた。

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鳥越社長は、2018年・2019年と2年連続で、国連ニューヨーク本部でスピーチを行い、豆腐がSDGsで取り組んでいることをPRし、「世界で豆腐が関心を持たれている証拠」だとした。

話題の植物性肉については、「日本には、がんもどきがあると胸をはって言いたい。豆腐屋の植物性肉として、『肉肉しいがんも』を発売した。豆腐の近代化の中で忘れ去れた伝統のがんも作り『手ごね製法』と新しい技術を使って肉粒感・ヘテロ感(不均一さ、コントラスト)を実現。『メードインジャパンをもう一度』をテーマに作り込んでいる」と紹介した。

続いて、新市場創出に必要なポイントについて、〈1〉ひらめき・アイディア、〈2〉実現力・実践経験、〈3〉技術ノウハウ・インフラ――を挙げ、以下の通り述べた。

「中小企業にとってインフラ力に厚みを持つことは難しいが、豆腐屋は厳しい状況にあり存続の危機にさらされている中、当社は救済と再建活動を行っている。

1社でも多くの豆腐屋を救おうと取り組みを進め、3月には『三之助』ブランドでお馴染みのもぎ豆腐店が仲間入りし、(大豆問屋と相模屋食料本体を除く)グループ会社は8社となった。当初は失敗すると言われていたが、すでにグループ会社7社で黒字化を果たし、5月には日本ビーンズが債務超過解消し、これで4社が債務超過解消している状況だ。

私の出身の京都と群馬(相模屋食料の本社所在地)の木綿が全く別物のように、日本には各地方に根付いた独特の豆腐文化がある。さまざまな豆腐のこだわりの技術が集まってきている。相模屋の新しい豆腐の世界づくりは、各地の伝統の技を礎にしている。技術ノウハウ・インフラは、自社が成長する過程で立ちはだかった壁、その中で得られるノウハウと、再建・救済活動を通じて得られたその土地の豆腐作りの技術をしっかり持つことで実現している」

最後に、「中小企業におけるヒット商品の源は、『おもいつき』から生まれるもので、膨大な調査データからでもなく、難しい理論からでもないのではないか。『おもいつき』を追及することが重要だ」だと話した。

〈大豆油糧日報2022年7月27日付〉