福島県大玉村初のブランド米「あだたらの恵」発表

福島県大玉村は16日、都内で大玉村初のブランド米となる「あだたらの恵」を発表した。「あだたらの恵」は5つの厳しい基準をすべてクリアした米で、銘柄は「コシヒカリ」と「福、笑い」の2種類となる。非常に希少なため、現在はふるさと納税の返礼品でのみ入手可能で、一般流通に乗せる予定は今のところないという。
同村は福島県有数の米どころで、北西部にある安達太良山(あだたらやま)の裾野に広がる扇状地が米作りに適している。昔から「大玉村のお米はおいしい」という評判があったが、学術的なエビデンスがなかったため、福島大学食農学類教授農学博士の新田洋司氏に研究を依頼した。2019年から2023年の5年間にわたり、村内の生産者が異なる8カ所の田で収穫された米と炊飯米の微細構造を分析した結果、全国的にみても非常に質が高くおいしい米であることが証明された。

米に含まれるたんぱく質とアミロースは、ともに含有率が高いと食味値が低くなる。5年間の調査・分析の結果、大玉村で生産される米は、たんぱく質含有量・アミロース含有量がともに低く、炊飯するとやわらかく、粘り気のある食感のおいしいご飯となることがわかった。また、異常高温により全国的に米の品質が落ちた2023年においても、食味の大幅な下落はなく、気候に左右されることなく良質な米を生産しているということも証明された。2023年産米の1等米比率を見ても、全国と比べ非常に高いことがうかがえる。

〈「あだたらの恵」は、5つの条件を満たしたブランド米〉
〈1〉食味値88以上となる取り組みをする(そのうち84~88未満のものを「あだたらの恵」とし88以上かつ整粒歩合80%以上となったものは「特等」とする)
〈2〉環境にやさしい農業に取り組む「みどり認定」を受けていること
〈3〉カメムシ防除空中散布しないこと
〈4〉大玉村で生産された一等米であること
〈5〉ふるい目1.9mm以上
という5つの高い基準での栽培方法および食味値を定めており、2025年は大玉村の約500の農家の中、3農家が挑戦した。結果、基準をクリアして「あだたらの恵」とされたものは、今年の大玉村産米の中でも約0.1%だという。ふるさと納税の返礼品として採用されるほか、あだたらの里直売所でも10月17日~18日に誕生記念として数量限定で販売される。東京駅内の飲食店「dancyu食堂」でも期間限定で「あだたらの恵フェア」を開催する予定。すべての定食のご飯が「あだたらの恵」となる。
収量が安定してきたら一般流通に乗る可能性はあるか、という質問には「大玉村のみでなら買えるという方向で考えている」という回答。今年「あだたらの恵」となる米の収穫量は5.5tとなったが、目標としては20tを設定しており、今後も「あだたらの恵」の生産に取り組む農家が増えて行くよう推進していくという。
〈米麦日報 2025年10月20日付〉