農水省、令和8/9年の主食米需給見通し【生産量は711万玄米トン】

自民党合同会議での鈴木農相
自民党合同会議での鈴木農相

農水省は24日に自民党で開かれた、農業構造転換推進委員会・農業基本政策検討委員会合同会議で、令和8/9年の需給見通しについて、主食用米等の需要量は694~711万玄米tとし、そこから「需要に応じた」生産量として711万玄米tにしたと説明した。令和9年6月末民間在庫量は215~245万tとなる。

この需給見通しは来週、食料・農業・農村政策審議会食糧部会に諮って決定する。なお備蓄米について、事前契約による令和8年産備蓄米の政府買入れは21万玄米tを予定しており、ここにいう生産量には含まれておらず、政府備蓄米の放出(全体で約59万玄米t)に係る買戻し・買入れは今後の需給状況等を見定めた上で行う。

農水省では8年産の生産に向け、種子注文が本格的に行われる11月に間に合う時期に需給見通しを作成したい考えだ。今後、8年産の6月20日の営農計画書提出期限に向け、生産者が主食用とするか非主食用とするかを判断できるよう、来年3月に最新の動向を反映して需給見通しの修正を公表する。

需要見通しについては、令和7/8年需要見通しの算定の考え方を踏襲した。1人当たり消費量を、直近5年(令和2/3年~6/7年)の需要実績(精米ベース)をもとに、平均値(50.2kg)~最大値(50.8kg)の幅で設定。これに令和8年の人口推計値1億2,256.9万人を乗じて、インバウンド需要量の試算値6.6万t(前年比+0.5万t)を加算した。それが精米ベースの需要量で621.6万t~629.6万t。これに精米歩留りとして5年平均値(0.896)~最低値(0.886)から割り出した、玄米ベースの需要量が694.1万t~710.7万tとなる。

生産量は余裕を持たせた数値として、令和8/9年需要量の上限値である711万玄米tに設定した。精米ベース(歩留り最低値~平均値)で630~637万tになる。

〈鈴木農水大臣「需給の安定を図ることによる価格の安定にコミットする」〉

鈴木憲和農水大臣は自民党の農業構造転換推進委員会・農業基本政策検討委員会合同会議に新農水大臣として出席した。

冒頭挨拶で「いつもはそちら側に(出席議員のひとりとして)いたので、好き勝手に強気なことを言っていたが、今度は言われる立場になったので、先生方のご指導をしっかりと賜って、日本のために努力をしていきたい」と切り出し、「その上で、今、生産現場では、多くの人が大変な不安を抱えている。一方、国際情勢も大変厳しいものがある。地球温暖化という課題にも向き合わなければならない。我々はそういう状況の中で、現場の生産者、消費者、流通加工や小売りの現場で頑張っている人など、様々な立場から見て納得感を持てる農林水産行政を、皆さんと一緒に作っていきたい。それが結果として、国民への食料の安全供給と日本の食料安全保障の確立、これにつながると信じている。忌憚のないご指導をいただければありがたいと思う」と述べた。

その後、22日に行われた就任記者会見での発言について、「(米価高騰対策の増産や備蓄米放出は行わないのか、という旨の質問を受け)『価格にコミットしない』という言い方をしたが、正確に真意を申し上げると、『需給の安定を図ることによって、価格の安定を図っていくということにコミットしている』。これは食糧法の趣旨そのものだと考えている」と説明した。

最後に「私もこの委員会に所属していたが、備蓄のあり方、本質的にどうあるべきかについても、ぜひ先生方から本質的な議論をいただいて、それを我々農林水産省がしっかり受け止め、皆さんと一緒に、国民全員に、これだったら未来が開けていく、そして来年だけではなくて、10年先や20年先も見通せる。このように思ってもらえるよう精一杯努力したい」と抱負を話した。

〈米麦日報 2025年10月27日付〉

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