泉屋「米価は5kgで2,980円がありがたい」/日米連共催「ゆうだい21新米フェア」で
日本米穀商連合会は26日、宇都宮市内で「ゆうだい21新米フェア」を宇都宮大学と共催した。生産者と米穀商ら60人超が参集した。講演会では米穀集荷販売の泉屋(千葉県木更津市)の泉雅晴代表取締役が、令和7年産米の動向について話した。
泉屋の泉代表は「令和の米騒動」に触れ、「政府は需要量の上振れと断定しているが、生産量が違っていたのだと言いたい。高齢化や放棄地などで台帳までの農地は存在しない。栽培されていたとしても基準単収を満たさない圃場が数多く存在する」と述べた。備蓄米の放出の遅れや、一過性の対策に過ぎず、根本的に価格の下落を促すものではないことも指摘した。
〈7年産米の高騰について〉
7年産の高騰について「今の値段は行き過ぎと思っている。外国産米が自由に入ってくる状況で、生産者米価は玄米60kgで27,000円以下でなければ、外国産米の流入を止めることはできない。牛丼店ではもう使っているが、回転寿司でも使うと聞いている。そうすれば数万tの需要先が無くなることになり、生産者側にも損失だ」と指摘した。
民間在庫について「日本の消費量は1か月に60万tとされ、端境期の7~9月の3か月分の180万tが適正在庫として、それ以上ならコメ余り、以下ならコメ不足というバロメーターとされてきた。これに対して昨年6月末は152万t。いかにコメが少なかったかということだ」。
今年は「来年6月末に230万t程度になるとしている。過剰在庫だ。(需給見通しの)発表は2か月近く遅れたが、その間に全国で新米の出荷が始まった。集荷マーケットは米騒動のままの雰囲気だが、(大手卸の発言も影響して)先安を見込み、民間のスポット市場には急ブレーキがかかっている。収拾がつかない状況だ」。
〈適正価格について〉
適正価格については「(生産者米価で)20,000~25,000円、(末端価格が)5kgで2,980円が続くのがありがたい」との見方を示した。
今後、米価が下がる要因としては
▽ 売れ残って市場にある随契米
▽ 大手外食・CVSベンダーに紐づいた入札備蓄米
▽ かつてない量で流入する外国産米
▽ JA以外へ流れたコメの投げ売り
▽ 夏前に大量に購入された家庭内備蓄
▽ 高米価による需要減
上がる要因としては
▽ JAの集荷が悪いため、不足分を民間市場から拾う流れ
▽ 政府発表の68万t増産の下振れ(作況の甘さや面積の誤り)
▽ JAが預かる入札備蓄米32万tの返却
を挙げた。
このうちJAの集荷状況について「今般の米価高騰はそもそもJAという米のダムが干上がり、あちこちに米が散らばったことが一つの要因だ。240万tあったJA米は、6年産で180万tになり、今年も高い概算金を出したにもかかわらず苦戦している」とした。一方で「生産者は自家販売分を去年よりも多く持っているはずで、これが来年春に出てくる」と見込む。
同社では農業生産法人に出資して生産にも力を入れてきたという。その中でゆうだい21など特徴的な品種の栽培も進めてきた。そうした取り組みも奏功し、一昨年から続く米騒動の影響も回避できたという。「ゆうだいや新品種に取り組み、得意分野をつくっていく必要がある。できれば農家の手伝いにも入ってほしい」と訴えた。民間企業による農業参入や高齢化への手助けを通じて、消費者・実需者が望む米=売れる米の生産につなげることが重要だとした。
〈米麦日報 2025年10月28日付〉







