「夕食、何作ろう」を減らす 大塚食品の下味冷凍調味料「メインディップ」、開発者の育児・復職経験から誕生

「MainDip(メインディップ)」を手にする大塚食品 琵琶湖研究所食品開発室の松村氏
「MainDip(メインディップ)」を手にする大塚食品 琵琶湖研究所食品開発室の松村氏

大塚食品が、夕食づくりの悩みに応える下味冷凍用調味料「MainDip(メインディップ)」の提案を強めている。肉を袋に入れて冷凍し、食べたい時に解凍して野菜と調理するだけで、肉と野菜を使った大皿メニューを作れる。共働き世帯や子育て世帯が抱える「毎日の献立を考える負担」に着目し、平日の食卓を支える選択肢として展開する。

「メインディップ」は2026年3月に全国発売した。ラインアップは「鶏ももポテトのハニーマスタード」「豚バラキャベツのローストガーリック炒め」「豚ロース玉ねぎのしょうが焼き」「鶏ももトマトのタンドリー」「豚バラなすのバルサミコ炒め」の5品。希望小売価格は各280円税別で、主要ターゲットは30~40代の子育て世帯となっている。

使い方は、ジッパー付きの袋に肉を入れてもみ込み、冷凍庫でストックしておく。食べたい日の朝などに冷蔵庫へ移して解凍し、調理時は中身を丸ごとフライパンに入れ、野菜を加えて加熱する。週末などに肉をまとめ買いした際に仕込んでおけば、平日は献立を一から考える負担を減らしながら主菜を用意できる。

琵琶湖研究所食品開発室の松村章津子氏は、「献立に悩まなくてもよく、味がしみるおいしさと手間を減らせる簡便さを併せ持った、新しい発想の下味冷凍用調味料」と説明する。

開発の出発点は「自分を助けたい」

「メインディップ」は、「鶏ももポテトのハニーマスタード」、「豚ロース玉ねぎのしょうが焼き」など全5品を展開
「メインディップ」は、「鶏ももポテトのハニーマスタード」、「豚ロース玉ねぎのしょうが焼き」など全5品を展開

開発の出発点には、松村氏自身の経験があった。当時、松村氏には4歳と1歳の子どもがいた。育児休業から職場復帰するにあたり、仕事、家事、育児をこなしながら夕食を作れるのかという不安があった。一方で、できれば外食や惣菜には頼らず、手作りのできたての食事を家族に出したいという思いもあった。

松村氏は「自分を助けたい、自分を救いたいという思いから生まれた商品」と振り返る。料理研究家が家庭にある調味料で肉を漬け込み、冷凍しておく方法を紹介しているのを見て、「肉に味をつけて冷凍してもいいのだと、目からうろこだった。これなら自分も頼れるかもしれないと思った」という。

下味冷凍の良さは、時短や簡便性だけではない。自分で仕込み、自分で調理することで手作り感を得られ、家族にできたてを提供できる。松村氏は、この発想を商品化すれば、同じように夕食づくりに悩む人の助けになると考え、開発を進めた。

背景には、夕食づくりをめぐる生活者の負担がある。同社が既婚女性30~60代576人を対象に実施した調査では、夕食の準備でストレスに感じることとして、「献立を考える」が60%で最も高かった。次いで「片付け・皿洗い」が47%、「買い物に行く・食材をそろえる」が33%、「栄養バランスを整える」が32%となった。

また、料理を楽にするために作り置きや事前の下準備をしている人は70%に上った。下味冷凍については、「すでにやっている」が18.9%、「興味があり、今後やってみたい」が50.3%となり、同社は市場のポテンシャルが高いとみている。

冷蔵庫で解凍する過程で味がしみ込む

おいしさの面では、解凍時に味がしみ込む設計にこだわった。松村氏によると、冷凍している間に味がしみ込むのではなく、冷蔵庫で解凍していく過程で味がしみ込みやすくなるという。冷凍によって肉の組織が少し変化することも、味のしみ込みやすさにつながる。流水解凍も可能だが、同社は冷蔵庫での解凍を推奨している。

大塚食品の自社分析では、下味冷凍により甘味、塩味、酸味に関わる成分が増加し、肉の臭みに関わる成分は減少した(投影資料)
大塚食品の自社分析では、下味冷凍により甘味、塩味、酸味に関わる成分が増加し、肉の臭みに関わる成分は減少した(投影資料)

同社が2025年10月に実施した自社分析では、ハニーマスタードソースを使い、下味冷凍なしと下味冷凍ありで調理後の鶏もも肉中の成分量を比較した。その結果、甘味に関わるフラクトースは約4.1倍、塩味に関わるナトリウムは約2.4倍、酸味に関わる酢酸は約6.1倍に増加した。一方で、肉の臭みに関わるヘキサナールは約59.1%、(E)-2-ノネナールは約46.4%減少した。

松村氏は「下味冷凍によってソースのおいしい味がしみ込み、肉の臭みが減ることがメインディップのおいしさの特長」と話す。肉の臭み低減は当初から想定していたものではなく、味のしみ込みを見える化する取り組みの中で分かったという。

冷蔵庫などで解凍した肉を、野菜とともにフライパンで加熱する
冷蔵庫などで解凍した肉を、野菜とともにフライパンで加熱する

原材料にもこだわった。原材料表示には添加物に当たる表示がなく、シンプルで分かりやすい設計にした。松村氏は「添加物そのものを否定しているわけではない。加工食品メーカーとして、添加物には品質を保つ上で大切な役割があると考えている。ただ、今回の商品では手作りに近い味わいを目指し、できるだけシンプルな原材料設計にこだわった」と説明する。

目指したのは、レストランで食べるような本格的な味ではなく、平日の日本の食卓に出せる味だ。「ご飯と合わせて食べられる味にすることにこだわった」と松村氏は語る。味がしみ込んだ時に最もおいしくなるよう、原材料の使い方などを工夫した。

今後は店頭での試食やアレンジ提案などを通じ、認知拡大と利用シーンの提案を進める。松村氏は「メインディップ」を「未来の自分への思いやりの商品」と位置付ける。「冷凍庫にあるだけで安心でき、すぐに家族が喜ぶご飯につながる。忙しい日々の食卓に少しのゆとりと笑顔を生み出していきたい」と話している。

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
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