〈シグナル〉共働き増加という新しい現実

小・中学生の子どもを持つ親の春の一大イベントにPTAの役員決めがある。最近は共働きの世帯が多く、協力したくても平日の会合に出られない保護者は役員を敬遠する。だが、誰かがやる必要があるため、長女の学校では立候補がない役職はくじ引きで決められた。仕事などで保護者会を欠席した人が意に反して役員になるケースも少なくない。

(独)労働政策研究・研修機構の資料によれば、専業主婦世帯と共働き世帯は、1980年にそれぞれ1114万世帯と614万世帯で、共働き世帯の割合は約36%だった。1997年には921万世帯と949万世帯で初めて逆転し、2017年は641万世帯と1188万世帯で、共働きの比率が約65%になった。

共働きの増加という新しい現実を受け、今後どのような対策を立てるのか。次男の学校では、現実に沿った内容に方針転換し、昨年からPTAの会費を減らし、活動内容を縮小することに踏み切った。一方で、読み聞かせや休日に園庭の世話をするボランティアの希望者が増え、親が学校へ通う回数は増加しているという。

食品・飲料メーカーでは、時短調理や女性のオフィス需要を狙った商品の開発、容量・サイズの見直しなどに本腰を入れている。未来のライフスタイルを提案する商品でなければ、変化のスピードについていけない。共働き世帯の割合は40年前から完全に逆転した。従来の延長線で物事を考える習慣を改める時だ。

〈食品産業新聞 2018年5月10日付より〉