〈シグナル〉コロナ禍の変化対応

 
「コロナ禍で、開発担当者は非常に制限された環境で業務運営せざるを得なかった」。冷凍食品は春と秋に新商品が発売される。しかし今秋は、メーカーにとって異例ずくめの開発環境となった。
 
味の素冷凍食品の経営幹部は「3〜5月は秋の新製品の開発のピークに当たる。最終的に品質を決めるために試食を行い、工場での製造テスト、パッケージの撮影を行う。直前の消費者調査もある。どうしてもやらなければならないことがあり、相当議論した」と話す。
 
コロナ予防対策によって、開発部門担当者の出社率が20〜25%の状態の中、関連部門と連携して新製品の発表にたどり着いた。
 
その幹部は「正直、この秋は無理ではないかと思うときもあったが、工夫をしながら開発、工場のメンバーが頑張ってくれた。自信作をお届けできることをうれしく思う」と語った。
 
輸入事業者も海外視察の仕方を工夫している。冷凍野菜メーカーのライフフーズでは今年、マンゴー生産工場の工場視察をオンラインで実施した。予め視察のポイントを伝えておき、重点的に映像で確認できたと、その有用性を評価する。
 
同社矢野良一社長は「品質保証は必ず現地に行かなければいけないが、行けていない現実がある。大事な生産があるときや工場で何か変更したときなど、ZOOMでチェックできることは大変有効だ」と話す。
 
コロナ禍の中、企業努力から生まれるものがある。
 
〈食品産業新聞 2020年8月10日付より〉