〈シグナル〉キーワードは炭酸・低アル
炭酸水が好きでよく飲むが、今年の夏ほど飲用量が多かった年はない。会社だけでなく、家庭でも500mlを途切れないように多数常備していた。一方で、8月のビール類の出荷数量は前年比11%減だったとみられる。ここまで暑いと酒類にしても、氷を入れて楽しむ品目が優先されたのかもしれない。
酒類消費人口の減少に加え、酷暑のなか清酒やワインを飲む気になれないことはよく分かる。どちらも若年層の獲得が課題だ。そこで各社が取り組んでいるのが、これまでの常識を超えた提案だ。清酒はこれまでお燗・常温・冷酒といった温度別で楽しむこと以外になかったが、昨今では業界を挙げて、炭酸水と割って5%程度の低アルコールとなる「酒ハイ」を提案している。
ワインでも、ボトル缶に入った炭酸入りで、アルコール分5%程度の「白ワイン×アイスティー」「ロゼワイン×グレフルスカッシュ」といった、缶チューハイとの境を狙った商品がよく売れている。
焼酎にしても、昨今の蒸溜技術によって、いわゆる焼酎臭さをなくし、例えばマスカットのような香りがする“香り系焼酎”が続々と上市されている。それらを炭酸で割った“焼酎ハイボール缶”も好調だ。
これらの提案はおしなべて「伝統的酒類の常道」ではなく、眉を顰める御仁もいるだろうが、まずは口に入れてもらわねば勝負にもならない。業界人としての熱意が試されている。